『トルコ兵シリアで死亡・トルコの報復攻撃懸念』

2016年11月25日

 

 シリアのアルバーブに駐留するトルコ軍が兵士の間に、シリア軍の空爆を受けて、死傷者が出ている。死者は3人負傷者は10人にも上り、負傷者の1人は重傷を負い、即座にトルコ南東部のガジアンテペの病院に、搬送されたということだ。

 トルコのユルドルム首相は、報復攻撃をする、と息巻いている。トルコのシリア政府憎さは人一倍であり、これまでアサド体制を打倒する、と息巻いてきていた。それが最近になって、トーン・ダウンしてきたのは、ロシアとの関係を、重視したからであろう。

 しかし、今回のシリア空軍の空爆による、死傷者が出たという事態は、トルコの対シリア対応を、逆戻りさせるかもしれない。つまり、ロシアとの関係重視から、シリアへの対応を和らげるということは、無くなるかもしれない。

 中東の状況を見ていると、まさに猫の目の色のように、大変革をたびたび起こすようだ。こうなると、長期的に見たらどうなるのか、という判断をせざるを得ないのだが、それもその時々の変化に、影響されることになり、必ずしも正確な読みは、出来なくなる。

 今回のシリア軍による空爆で、トルコの軍人のなかから、死傷者が出たことは、トルコのエルドアン大統領を、激怒させていることであろうから、しかるべき報復は、確実に起こるのではないか。

その場合の、トルコ軍によるシリアへの報復は、シリアの軍人に限られて行われるのか、あるいは市民を巻き込んだ形で、行われるのかが焦点であろう。もし、シリアの市民の間に、多数の犠牲者が出るようなことになれば、欧米のトルコ非難は、激しいものとなろう。

エルドアン大統領は、EUの議会がトルコのメンバー国入りを、凍結したことで激怒しており、『それならヨーロッパに、シリア難民が多数流れ込むことを放置する。』と言い出し、ヨーロッパ諸国でのテロが増えるだろう、とも脅しをかけている。

トルコはいま、ヨーロッパからもアメリカからも、毛嫌いされる状態に、陥っているのだ。それだけに、トルコによるシリアへの、今回の報復騒ぎは、それをますます煽ることに、なるのではないのか。