エジプトがいま経済的に、急迫状態にあることは、誰もが知るところだ。このままでは国家を運営していけない、ということで、IMFから120億ドル、10年支払いで借りた。
その事は楽観的で、明るいエジプト庶民と政府を、ほっとさせたのであろう。一時期は18ポンド以下にまで下がっていたエジプトポンドの対ドルレートが、ここに来て15,5ポンド程度で落ち着いたようだ。もちろん、この先、再度下がることもあろうし、その逆に上がることもあろう。
それがフロ-テイング・レートなのだから。エジプトは思い切ってこのフローテイング・レートの実施を決断したのだ。あるいは、IMFからの強い要求で、エジプト政府はそうせざるを、得なかったのかもしれない。
エジプトではその後、インフレが厳しくなり、学校の教科書を印刷している会社は、採算があわないということで、子供たちの教科書印刷を、止めてしまった。支払いは政府であろうから、そのうち何らかの妥協策は、出てくるとは思うのだが、教科書の無い学期のスタートを、エジプトの子供たちは、迎えたということだ。
加えて、インフレのために、学費が上がることを、中産階級以下のエジプトの父兄たちは、不安がっている。それは当然の現象、ということであろう。物価が上がり、学費が上がっても、給料はそう早いテンポでは、上がってくれないのだから、この人達の生活は相当厳しくなる、ということであろう。
他方、いいニュースとしては、BPが2020年までに、130億ドルをエジプトのエネルギー資源開発に、投資することを決めたことだ。この開発の話は、2011年から始まっていたが、今回のIKFの貸付が、BP側を安心させて、一歩前に出させたのかもしれない。
エジプトでは金鉱脈の開発の話も、動き出している。エジプトはツタンカーメンの黄金のマスクでは無いが、古くから金が、産出されてきている。今でもスーダンとの国境地帯には、相当大きな金鉱脈があることが、分かっている。
これまでは、コマーシャル・タームが短いことに嫌気をさしていた、外国の鉱山開発会社が、金の価格が上がっていることなどとあわせて、動き出しているようだ。
エジプト政府は金の開発が進めば、その部門からの収入が、国家収入全体の5パーセントをカバ-するだろう、と見通しているようだ。
エジプトとサウジアラビアとの関係は、シリア問題をはさんで悪化しているが、クウエイトがサウジアラビアに代わるかもしれないし、その流れにアラブ首長国連邦が、参加するかもしれない。そうあって欲しいものだ。