『狂気としか思えないエルドアン大統領の発言』

2016年11月 7日

 

トルコのエルドアン大統領は、ついに狂気になりつつあるようだ。彼は彼の幻想の敵との戦いのなかで、次第に被害妄想の度を増していき、正常な判断が出来なく、なっているのであろう。最近では『西側諸国が自分を独裁者と呼んでも気にしない。』と言い出してもいる。まさに馬耳東風ということであろうか。

その最も顕著な例は、トルコで起こった715日のクーデター未遂の後、彼がこのクーデターの背後には、ギュレン・グループがおり、CIAがそれを後ろから支えている、という発言だった。つまり、大国アメリカを敵に回す、発言をしたのだ。

また、EU加盟についても何度となく、EU側からは民主主義の履行を言われても、それを聞き入れずマスコミに対する弾圧を、続けている。また、PKK(クルド労働党)に対する、EUの対応はテロを支援するものだ、と非難してもいる。彼は『EUに既に53年もドアを開け続けてきたが、何の反応もない、自分たちが馬鹿を見るのは止めよう。』とも語っている。

エルドアン大統領はドイツのメルケル首相に対して、PKKに関する4000以上のファイルを送ったが、何の変化もない。ドイツやベルギーはPKKをテロ集団と認めていながら、PKKの巣窟になっている、とも語ってもいる。

国内では『クーデター未遂関係者を、死刑にする。』と言い始めている。この死刑が現実化すれば、トルコがEUに加盟することは、完全に不可能になろう。エルドアン大統領は『国民が望むのであれば、政府は死刑を復活する。』と語り、近く議会でそれが決定されることになるのは、目に見えている。

エルドアン大統領はそれを、それが『トルコ国民に対する奉仕だ。』というのだから尋常ではないだろう。トルコの刑務所には数万人(あるいは数十万人)の逮捕者が投獄されており、その誰が死刑になるのか、国民は不安を抱えて暮らしている、ということだ。いま、トルコ国民で家族や親族に、逮捕されている者がいない家族を探すことは、不可能なくらいに、逮捕者の数が広がっているのだ。

加えて、軍人や警察、検察、裁判官を含む、公務員、学者の首も、数十万人に拡大しており、政府がまともに機能出来なくなっているのだ。教員が多数首になり、学校の始業式に間に合わなかったり、空軍のパイロットが不足になったために、臨時で募集したりしている。一説には、彼を警護するための特殊軍が、結成されているということだ。

彼の誇大妄想について言えば、オスマン帝国の復活を夢見ているということだ。イラクやシリアへの軍事侵攻を、強く望んでいるのは、オスマン帝国時代の領土の奪還であり、中央アジアやアラブへの関与も、その一環なのだ。ガザへのトルコの支援も自国領土、という意識からのものであろう。

これではトルコの現状を知る者は、エルドアン大統領とはまともに付き合えなくなる、という事であろう。トルコのマスコミは、プロパガンダ色が強くなってきており、信頼できる情報は大分少なくなっている。