ロシア機の領空侵犯を理由に、トルコ軍機がロシア軍機を撃墜していた後、ロシアとトルコとの関係悪化がしたが、エルドアン大統領がプーチン大統領に宛てて送った詫び状で、両国関係は大きく改善した。以来、両国は経済面での協力を拡大している。
他方、トルコとアメリカとの関係は、必ずしも良好とは言え無い、トルコ側からのギュレン氏の、引渡要求は進展せず、イラクのモースル作戦でも、アメリカはトルコ軍の参戦を、拒否している。
10月の始めに、ロシアのプーチン大統領がトルコを訪問し、エルドアン・プーチン会談が行われ、ここでも協力促進の話が前進した。特に長距離ミサイルを始めとした、各種兵器の取引で、進展が見られたようだ。
トルコ側は完成品の兵器を、輸入したがっていることは確かだが、ロシアとの協力の下に、自国の兵器産業を進展させたい、という考えのようだ。兵器ビジネスは一番利幅が広いことは、何処の国も知っているからだ。
既に、トルコとロシアとの間では、ビジネスマン・レベルで、兵器の共同生産の話が行われている。ロシアの技術を活かして、トルコ国内で生産するということだ。もちろん、こうした経緯の後に、トルコは自国製の兵器を、大量生産し世界に売りまくりたい、ということであろう。
他方、このトルコにとって極めて美味しい話に思える、兵器取引で問題になるのは、アメリカとの関係であろう。トルコ軍の兵器体系は、ほとんどがアメリカ・システムであり、そこにロシア製の兵器が割り込んでくるということは、軍の運用全体に、影響が出てこようし、アメリカ軍との協力にも、影響が出てこよう。
また、このことはアメリカにとっては、極めて不愉快な話でもあろう。トルコはこれまで、アメリカの援助で兵器を、アメリカから輸入し、イスラエルがメンテナンスで協力するという、いわば3国間のパートナーシップが、出来上がっていたのだ。それが崩れる心配が、出てきているということだ。
アメリカがこの問題で、トルコ側に圧力を掛けなければ、親米諸国の中から、トルコに追従する動きが出てくる、可能性は高かろう。それは、ロシア製兵器がアメリカ製兵器に比較して、価格が安く、性能面での差は、あまりないからだ。
エルドアン大統領は短期的な、利益を考え過ぎて、テツを踏むのではないか。トルコの経済状態は、そこまで悪化しているのか、と思えるのだが。エルドアン大統領は兎に角、一日も早いクーデター後の、回復を願っているようだ。