エジプト政府の内務省は、カイロにある幾つかの外国大使館が出した、テロ警告情報について、不満と怒りを顕わにしている。それらの大使館は、アメリカ大使館、イギリス大使館、オーストラリア大使館、カナダ大使館などだ。
一見してすぐ分かることは、これらの大使館が、アングロサクソンの国家であり、政府だということだ。つまり、アングルサクソン国家同士が、情報を交換し合い、危険情報を流したということであろう。
エジプト政府がこれらの大使館に、テロ発生の根拠について、問いただしたのに対して、大使館側はルーティーンの情報であり、休日に向かうから出したものであり、確たるテロ発生の証拠は無い、と応えたということだ。
エジプト政府は当然これに不満を抱き、同情報が出されたことには、しかるべき目的があるのではないか、と推測したようだ。つまり、エジプトの経済にダメージを与えることを目的に、流した情報ではないか、ということだ。
エジプトにとって、観光部門から得る収益は、国家収益全体の25パーセント程度に達しており、観光客が訪問しなくなれば、25パーセントの国家収入が、消えてしまうのだ。つまり、観光産業はエジプトにとって、死活問題なのだ。
各大使館は今回のテロ警告情報を出すに当たり、人口密集地域や混雑する場所には、行かないよう指示している。
通常であれば、こうしたテロ情報を出す場合、事前にエジプトの内務省なり外務省なりに連絡をして、双方が協力できる体制を整えて、テロの被害を未然に防ぐのが、普通なのだが。テロの警告を発した各大使館からは、今回は何の連絡も、エジプト政府の外務省や内務省に、伝わっていなかったということのようだ。
あえて想像すれば、最近のエジプト政府の動きは、ロシアへの接近が目立っていることではないか。その事に加え、フランスとの接近も目立っている。その事に対する不満と疑念が、アングロサクソン系国家の間に芽生え始め、今回は報復のテストを、したのかもしれない。
最近、内務省の活動により、やっと国内テロが落ち着き始め、外交努力もあり、外人観光客が戻り始めていただけに、エジプト政府には極めて遺憾な、状況であろう。