『イラクのアバデイ首相トルコ軍に出て行けと要求』

2016年10月 6日

 

 イラクのアバデイ首相はトルコに対し、イラクに駐留する軍隊を撤退させろと何度も要求してきている。しかし、トルコ軍は相変わらず、イラク領土内にとどまっている。アバデイ首相は『もし、撤退がスムーズに実行されない場合には、地域紛争に拡大する。』とも語っている。

 状況は相当緊迫しているということであろう。トルコ軍はイラクのモースル地区にある、バシカの基地に展開しているのだ。トルコ政府によればこれは同地域などで懸念される、マイノリテイ住民に対する残虐行為を、予防するものであり、同時に人口移動をさせることによって、民族分布を変えることを、阻止するためのものだということだ。

 どうやら、トルコ政府はアバデイ首相の要請によって軍を派遣した、と語っていたが、一番トルコ軍のイラク入りを望んだのは、クルド自治区のバルザーニ議長ではないのか。バルザーニ議長が率いるクルド人も、イラク軍との武力衝突が起これば、相当にダメージを受けることになろう。そこでトルコ軍が援軍として、駐留することになった、ということであろう。

 イラク側はエルドアンア大統領に対して、だいぶ暴言を吐いた、とトルコ側は主張しているが、そのことはこの問題をますます複雑に、させるのではないのか。トルコにおいて、今やエルドアン大統領は神のような、存在になっているのだから。

 このトルコとイラクの対立に対して、イランは好機至れりという感じだ。イラク側をけしかけ、場合によっては武力衝突も辞さず、その場合はイラン軍がイラク側を応援する、ということのようだ。

 イランにしてみれば、トルコとの武力衝突は望んでいないだろうが、これを口実に、大型の部隊をイラクに常駐させるような形に、出来ると踏んでいるのではないか。イラクではアメリカのIS(ISIL)対応が、ほぼ終わるとみており、やがてイラクからアメリカ軍は、撤退しよう。その後にイランがイラク国内に留まれるのであれば、イランにとっては極めて好都合な話であろう。

 イランにとってイラクは、宗教的にも重要なのだ。それはイラクの南部にあるナジャフとカルバラが、シーア派教徒にとっては重要な、宗教の聖地になっているからだ。それはスンニー派教徒にとっての、メッカやメジナと比べ、勝るとも劣らない、精神的宗教的価値ある場所なのだ

 宗教的な意味、石油やガスという経済的意味、そして戦略的な意味で、イラクは極めて価値ある場所を、占めている国なのであろう