『サウジアラビア金欠で給与・ボーナス・カット』

2016年9月27日

 サウジアラビアは石油成金の国と、一時期はもてはやされ、サウジアラビア人は全てが、大金持ちの印象を、世界でばらまいていた。しかし、それは石油の輸出にのみ頼る、経済構造であり、所詮は砂漠の楼閣なのかもしれない。

 サウジアラビア政府はいま、石油価格の下落とイエメン戦争で、財政的に相当苦しくなっているようだ。石油価格はご存じのとおり、40ドル/バーレルを前後し、一時期の120ドル/バーレルは、夢のまた夢になっている。

 ムハンマド・サルマン副皇太子が強硬に始めた、イエメンとの戦争は終わりを知らず、膨大な資金が戦費として消えている。これから先、何時までこの戦争が続くのかは、誰にも分からない。

『戦争は始めるのか簡単だが、終わらせるのは容易でない。』とよく言われるが、まさにその通りであろう。

 結果的に、サウジアラビア政府は、大規模な支出削減を、行うことを決めた。その第一は、閣僚への給与は20パーセントカット、160人の評議会議員の給与を減額し、ボーナスもカットするというものだ。

加えて議員たちが持っていた特権である、住宅建設や修繕費用、自家用車の購入費用への援助、家具の購入などへの補助金は、消えるようだ。

国家公務員全体に対しても、同様に給与の減額支給や、ボーナスのカットが行われるようだが、ただし、イエメンで戦闘に参加している軍人については、この限りではないようだ。当然であろう。この戦争はムハンマド・サルマン副皇太子の、肝いりで始まったものであり、もし、軍人に対する待遇が悪化すれば、クーデターが起こる危険性すらあろう。

既にお知らせしたとおり、インドやパキスタンからの、労働者に対する給与未払状態は、数か月にも及んでおり、最初にインド大使館が、自国民の帰国支援を進めると同時に、サウジアラビア政府に対して、厳しいクレームを付けている。

そして今度は、パキスタン大使館が自国民の、厳しい状況をサウジアラビア政府に説明し、給与の早期支払いを求めている。しかし、その我慢も限界に達し、一部の労働者は給与を受け取らないままに、帰国の途についている。パキスタンからの出稼ぎ労働者のなかの給与未収者は、建設部門には6500人いるが、405人は既に帰国の途についたようだ。

そうした事情が、最近のサウジアラビアの、ロシア接近を生み出しているのであろうか?