既に2年前の話になるが、トルコ国籍を持つイラン人ビジネスマンが、アメリカのマイアミで逮捕された。彼は当時既に逮捕者リストに載っており、マイアミでの逮捕は、彼がアメリカの警察に逮捕されることを、望んでいたからであろう、と言われていた。
それは、彼がもしイランやトルコで逮捕されれば、闇から闇に葬られる可能性が、高かったからだ。ザッラブなるこの人物は、30歳そこそこの若さであるにもかかわらず、巨額の資金を動かし、トルコから金をイランに密輸したり、ドルをイランに送り届けていた。つまりマネー・ロンダリングをやっていたのだ。
ザッラブの活動は、トルコの閣僚やエルドアン大統領の家族の、支援を受けていたために、そのようなことができていたのだが、ついには、危険の時期を迎え、アメリカで投降した、ということだ。
ザッラブがアメリカの検察に対して、何を語るのかが各方面から、注目されていたが、今までザッラブの証言内容は、明かされてきていない。彼は司法取引をしているのであろう、と思われる。
ここに来て、アメリカの検察は、エルドアン大統領と彼の閣僚、そして家族のザッラブ事件への関与追及を、始めたようだ。もちろん、エルドアン大統領はこの問題を、必死にもみ消そうとしている。
これまでも、エルドアン大統領は検察の大量更迭を行い、ザッラブ・スキャンダルを解消しようとしてきたが、その過程では検察だけではなく、警察や判事も更迭の、対象になってきた。
エルドアン大統領はアメリカが、彼と彼の家族、そして閣僚を敵視し始めていることを、十分承知しており、事件との関係を否定している。例えば、青年教育協会[TOGEM]へのザッラブによる寄付問題などだ。
この青年教育協会は、エルドアン大統領の実子ビラールがトップにいて、妻も関係していたのだが、エルドアン大統領はそれを否定している。また、ザッラブもトルコの取り調べでは、一般市民に過ぎなかった、と事件との関係を否定している。
しかし、そのような説明は通用しないだろう。これからアメリカはどのようにエルドアン大統領を、締め上げていくのか見ものだ。