『シリア対応ロシアとアメリカどちらが正しいのか』

2016年9月25日

 

 シリアへの対応をめぐって、アメリカとロシアは何度も、交渉を繰り返してきている、両国はそれぞれの立場から、シリアやイラク内戦の、終結への考えを持っており、基本的には意見が一致している。

 しかし、その解決の方法論となると、アメリカとロシアとの間では、どうも対立点が、消えないようだ。第一には、アメリカは一部のテロ組織を穏健であり、IS(ISIL)の掃討作戦に役立てたい、と思っている。

 他方、ロシアはそれらの組織も、テロ組織なのであるから、打倒するべきだ、と考えている。具体的に言うならば、かつて人間の内臓を取り出して、生齧りをして見せた、ヌスラ組織の戦闘員がいたが、アメリカはこの組織ですら、最近では穏健派、と言いだしているのだ。

 アメリカに言わせれば、アメリカの言いなりになって、IS(ISIL)に敵対的な姿勢を見せる組織は、皆穏健派ということに、なるのであろう。しかし、それはIS(ISIL)についても然りであり、アメリカはIS(ISIL)に対して、未だに武器の援助を、続けているようだ。

 シリアのアレッポをめぐる攻防戦では、ロシアは敢然と攻撃を続けたい、と考えているのだが、アメリカは一時的な停戦を、言い出している。そして、その停戦が約束された後も、アメリカの言う穏健派が、攻撃を続けているのだ。

 加えて、シリア軍やロシア軍の攻撃が、止まっている時期に、シリアの反政府各派は共闘作戦を相談しているのだ。また、この時期に、アメリカは支援物資の中に武器を隠して、反政府側に送り届けている。

 あきれるのは、この支援物資を送る主体が、国連だということだ。白ヘルメットをかむった、国連の支援活動をサポートする、人道的な人達が(?)、この作業を手伝っている、ということなのだが、彼らはアメリカが雇っている、戦争を支援する企業のスタッフ(以前にはブラックウオーター社などがあった)なのだ。

 このことについては、イランも指摘し、アメリカの行動を非難している。ロシアはアメリカとの合意が、意味を成さないとして、軍事行動を停戦することなく、続ける方針のようだ。

 アメリカにしてみれば、シリアでの戦闘が継続し、ロシアのシリア戦争への介入期間が、アメリカのベトナム戦争のように長引けば、ロシアに応分のダメージを与えられる、という考えなのであろうか。

 プーチン大統領はそれほど愚かではない。彼が今後、シリアに対してどのような手を、打つのか見守ろう。