『誰がシリアの援助車を空爆したのか』

2016年9月22日

 シリアのアレッポが、いま極めて厳しい状況にある。このアレッポに食糧や医療物資を、届けようと国連が送った、援助車の多数が、空爆を受け炎上してしまった。援助車の数は、18台から30台だったと見られている。

 そこで問題になるのは、述べるまでも無く、この人道援助の車に対して、どの国が空爆を行ったのか、ということだ。これは誰が考えても、許されるべきことではないのだが、国際政治の世界では、往々にしてこういう、非人道的なことが起こるのだ。

 先日もアメリカ軍機が、シリアの軍事基地を空爆し、多数の死傷者を出したが、アメリカは『間違えちゃった!!』の一言で済ませている。アラブ人など虫けら同然であり、彼らが死ぬことなど問題ではない、というのがアメリカの軍や政府の人間の、感覚なのであろうか。

 アメリカのペンタゴン(国防省)は、この援助車に対する、攻撃が起こったことが広まると、即座に、攻撃はロシアかシリアによるものだと断定し、アメリカの関与を否定している。それはアメリカのマスコミの力で、瞬時にして世界中に、広まることになる。そしてアメリカの主張は事実として、世界中で固定されていくのだ。

 もちろん、ロシア側も同様に、自国の関与を否定し、そこには空爆時に、アメリカのドローンが飛んでいた、と発表している。ロシアはアメリカと違って、アメリカが空爆した、とは言っていない。

そのようなロシアのあいまいな対応は、後ろめたさなのか、遠慮なのか、確実な証拠がまだ手に入って、いないからなのか判らない。しかし、やがて証拠品が出てくるであろうから、どの国が空爆したかは、明らかになろう。

アレッポの空爆現場近くには、攻撃で使われた爆弾の破片が、残っているはずだからだ。そうなると、現場をくまなく調べられるのは、多数の地上軍を派兵し、この地域で力を持っているロシアと、シリアということになろう。

アメリカはもし、空爆現場からアメリカ製爆弾の、破片が出てきたら、どう言い訳するのであろうか。この場合も、マスコミを通じて、全面否定をばら撒き、アメリカは関係ないというイメージを、世界に広げるのであろうか。

先日あるブログに、ロシアは仲間が少ないので不利だ、という記事が載っていたが、アメリカ側はヨーロッパ諸国や日本など、友好諸国にアメリカの主張を受け入れさせ、犯罪行為を隠すのであろうか。

もちろん、ロシア側がやった可能性もあろう。ロシアとシリアは空爆現場から出た、とアメリカ製爆弾の破片を、他の場所から持ち込むことも出来よう。事実はいまだ不明であり、現段階での犯人断定は出来ない。