東ヨーロッパの多くの国々は、資金難と労働力不足という、二つの大きな問題を抱えて悩んできた。そこに大量のシリア難民が流れ込めば、大歓迎と行きたいところだが、現実はそうではなかった。
ハンガリーもブルガリアも、シリア難民に対しては、極めて厳しい措置をとってきていた。それは彼らを働かせるべき職場が、うまく用意できないからだ。確かに一方では、労働力不足という問題があるのだから、直ぐにでも雇用しそうなものだが、そうは行かなかった。
そこで考え出されたのが、今回の新案であろう。それは外国人ビジネスマンに対して、ハンガリーは300,000ユーロ以上を、ブルガリアは512、000ユーロを国債購入に投資してくれれば、永住権を与え、健康サービス、教育、ビジネス・アドバイスなどをするというものだ。
ハンガリーの場合はこれに加え、ハンガリー人として、7年以内にEUパスポートを、取得することが出来る、というのだからたまらないだろう。しかも、投資した金額は無利子ではあるが、金額の増減無しに、5年後には引き出すことが、できるというのだ。
このニュースを報じたのは、トルコのサバー紙だがさもありなん、という感じがする。それはEUへの容易なアクセスが、可能になるからだ。彼らは30万ユーロを投資し、永住権を得てしまえば、EU諸国への出入りは、自由になるということだ。
既に世界から、2000人の人達がこの措置を受け入れ、出願手続きをしているということだ。トルコからも150人が書類を提出しているし、既に、世界全体では500人が,トルコからは35人が、永住権を与えられている。
今回の新たな措置が、果たして何処まで、EU諸国との話し合いの下に、決められたのか不明だ。ビジネスマンは正当な手続きで、永住権を得るのであろうが、彼の家族、親族、従業員なども、なし崩しに入って来る、可能性があるからだ。
そして、それらの人達がそこに留まった場合、あるいはEU諸国に移動していった場合、それを阻止することは、きわめて難しくなるのではないのか。
あらゆる国々が自国の経済を守るために、新たな手立てを考えて、実行する時代になってきたことは、同時に多くの新たな問題を、生み出すことでもあろう。日本も然りではないのか。