『サウジ政府支払い不能で大手企業倒産の危機』

2016年9月10日

 

 サウジアラビア政府が支払いを渋っているために、サウジで操業をしている大手の建設会社が、倒産の危機に直面している。レバノンの元首相ラフィーク・ハリーリ氏の会社、オゲル社がそれだ。

 オゲル社はレバノンの首相を務めた、故ラフィーク・ハリーリ氏が、サウジアラビアで立ち上げ、大企業に拡大したが、その理由は、彼がサウジアラビアの大手企業、ビンラーデン社と提携したことによろう。ビンラーデン社も元はイエメンからの、出稼ぎ者が創立した企業であり、お互いに外国人であったことが、両社を連携させたのかもしれない。

 いまサウジアラビア政府は、2014年以来続いている、石油価格の低迷で資金難に陥っており、各種の公共事業発注への、代金の支払いが滞っている。オゲル社の場合も軍事施設、学校、病院など、公共施設の建設を請け負ってきたが、数百億リヤルもの代金の受け取りが、滞っているということだ。

 この結果、砂漠の現場には、多数の労働者が食糧も電気も、病気治療の手立ても無い状態で、放置されているということだ。もちろん、労働者への賃金支払いも、止まっている。オゲル社は未集金の受け取りを、政府に要請しているが、話は停止状態にあり、運営資金の借入交渉も、止まっているということだ。

 オゲル社の提携企業であるビンラーデン社も、同じようにいま未集金が巨額になり、経営に苦しんでおり、こちらも倒産の危機にあるようだ。オゲル社やビンラーデン社は、述べるまでも無く大企業であり、多数の下請け企業を抱えているため、両社の経営危機は社会問題にまで、発展するかもしれない。

 以前、インド政府が自国民に対する、賃金支払いが止まり、食糧さえ提供されていないことに怒り、多数のインド人を連れ帰った、ということがあったが、今回のこの危機的状況に、サウジアラビアに労働者を出している各国は、どう対応するのであろうか。

ビンラーデン社やオゲル社の経営危機は、国際問題にもなりかねないし、サウジアラビアの国際的な信用は、ガタ落ちになろう。その事は、サウジアラビア全体が不安定化していくことであり、イスラム過激派や反政府組織には、まさにチャンスということになろう。