『トルコは首にした公務員の穴をどう埋めるのか』

2016年9月 5日

 クーデターは黄金のハンマーを、トルコのエルドアン政権に与えた。その結果、トルコ国内では嵐のような粛清が続いている。このクーデター後の嵐で首になった公務員の数は、40000人を超えている、ということだ。

 教育部門では28000人が首になり、その内訳は教員や学長などとなっている。警察からも、7669人が首になった、という報告が出ている。大学関係者では、2346人の教員と学長などが首になっているのだ。

 財務省からは、1642人の金融の専門家が首になり、宗教機関からは1519人が首になっている。軍からも、3000人が首になった、という報告が出ている。

 問題は、これらの首になった、公務員のポストをめぐり、無資格者や試験を通っていない者が、空いたポストを奪っている、という実態だ。トルコは述べるまでもなく、10パーセントを超える失業率の国だけに、幾らでも教員資格を持った者も、それ以外の職業に就ける能力を、持った者もいるのだ。

 ただ、専門的な高度な能力を、必要とされる分野や、経験が必要な分野の、仕事はそう簡単に、他を持ってカバーすることは出来ない。

例えば、対テロの専門職や科学分野の研究者、レベルの高い国際情勢の分析家、軍の戦略専門家などがそうだ。

 宗教分野も問題だ。政府が安易に宗教専門家ということで、危険な宗教組織や秘密宗教組織の人間を、しかるべきポストに就ければ、問題が生じる危険性がある。たとえば、サラフィー組織の強硬なグループ、メンズイル・グループなどがそれだ。

彼らはイスラム原理主義を広めようとしている組織であり、イスラム・テロを実行しようとしている、組織でもあるからだ。クーデター後の大粛清と、その後に続く大量雇用のなかで、政府はどれだけこれらの点について、配慮できるのか不安だ。

ギュレン組織は穏健であり、教育や慈善事業、マスコミや通商などを中心に、活動してきていた。

このような組織を排除して、過激なイスラム組織を政府の機構のなかに組み込めば、結果はおのずとトルコ社会が、危険な状況になるということだ。