パレスチナ自治政府の議長マハムード・アッバース氏は、1980年代にダマスカスで、ソ連の情報機関KGBのエージェントをしていた、という記録が公開された。この時期に何故それが公表されたかについては、考えてみる必要がありそうだ。
一つ言えることは、ロシアのプーチン大統領がこのところ、中東問題に本格的に乗り出してきており、シリアだけではなく、トルコやイランとの関係を、強化している。
近く、モスクワでのマハムード・アッバース議長とイスラエルのネタニヤフ首相の会談も、プーチン大統領の仲介で、開催される予定だ。その時のプーチン大統領とマハムード・アッバース議長との、信頼関係をパレスチナ人に示すことが、目的なのかも知れない。述べるまでもなく、プーチン大統領も元はKGBの、スタッフだったからだ。
マハムード・アッバース議長は、パレスチナのサファドで生まれ、1948年の戦争以前に、家族でシリアに移住している。彼はダマスカス大学の法学部を卒業した後、モスクワに留学し、オリエント・カレジで博士号を取得している。
マハムード・アッバース氏のKGBでのコードネームは『クロトブ』あるいは『モレ』だったということだ。彼がKGBのエージェントであったことを、明かしたのは元KGBの、ワシーリー・ミトロキン氏だ。これをイスラエルのチャネル・ワンが報じた。