サウジアラビアの治安部が、数か月かけて追跡していた、IS(ISIL)と繋がるテロのメンバー多数を、逮捕することに成功した。その数は17人というのだから、相当本格的な追跡作戦が行われていたことが、想像できる。
その犯IS(ISIL)のメンバーである、犯人たちの内訳は14人がサウジアラビア国籍で、その中には、女性が一人含まれていたようだ。それ以外は、エジプト人、パレスチナ人、イエメン人と、発表されている。
これらのテロリストは、サウジアラビア軍の施設、学者、学生、経済人、一般国民をターゲットにしていた、という事のようだ。 そして作戦はアハサーを中心に、サウジアラビア全土に広がる計画だった、といわれている。
彼らは電子機器を所有し、宣伝機能も持っていた。また、武器と資金(600サウ・ジリヤル)も持っていた。それらはほとんどが、外国からサウジアラビア国内に、持ち込まれていたということだ。
サウジアラビアはこれまで、IS(ISIL)がサウジアラビア国内で、活発に活動を展開していることは、報道してこなかった。また、外の国に対しても、明らかにしてこなかったのは、サウジアラビア国民の政府に対する不満が、拡大していることを、知られたくなかったからであろう。
これまでも、小規模なテロや、IS(ISIL)のメンバーが逮捕された、という情報は伝わってきていたが、それらは、サウジアラビア国内ではほとんど報道されず、外国に向けてのみ、伝えられていたのであろう。
しかし、現在に至っては、IS(ISIL)の活動が相当活発化しているために、隠しきれなくなったのであろう。今回の逮捕劇は、アルジャズイーラ・テレビも長時間に渡って、国防省の幹部が状況説明する様子を伝え、問題に関する解説も行っていた。
以前から報告してきたように、どうやらイラクやシリアでの、IS(ISIL)作戦は終わりが近づき、次のターゲットであるサウジアラビアでの、活動が始まっているのかもしれない。現在副皇太子の地位にある(実質皇太子)のムハンマド・サルマン王子は、アメリカ側から見れば、危険人物なのかもしれない。
彼は若いために、愛国心が強く、思い切った行動をする性格だからだ。彼が始めたイエメン戦争は、サウジアラビアに大きな負担となっているが、終戦のめどがついていない。
アメリカがサウジアラビアに対して、大鉈を振るうとなると、それは世界経済に、大きなダメージを与えることは、必定であろう。サウジアラビアを第一の石油輸入国にしている日本には、サウジアラビアの安定が、命綱ではないのか。