トルコのエルドアン大統領が難民問題や、シリアへの軍事介入で弁舌さわやかに、自国の執っている正しい政策を、宣伝しているが、どうもヨーロッパには、その嘘が通じないようだ。ヨーロッパ諸国にはトルコの政策が、ほとんど丸見えのように、透けて見えているのだろう。
フランスのホーランド大統領は、トルコのシリアへの軍事攻撃を、非難している。『トルコは自国の国境を守るために、軍事作戦を展開している、と言っているが、実際にはクルド攻撃でしかない。』と非難した。
フランスはアメリカと一緒に、シリア問題を解決するための、合同軍に参加しているし、そこでは、クルドの役割が大きいのだ。したがって、クルドを叩こうとするトルコとは、フランスは真正面から、対立することになる。
クルドのYPGはIS(ISIL)打倒にも、シリアのアサド政権への攻撃でも大活躍をしてきているのだ。それを、トルコは潰そうとしているのだから、フランスが非難するのは、当然であろう。
アメリカもトルコの意思確認をする前に、『トルコとクルドが停戦合意をした。』と発表し、トルコ側が慌てて否定するという、ごたごたが起きている。アメリカは自国の国益と、国際貢献を世界にアピールするために、見切り発車をし、デマ情報を流し、結果的にそのデマに相手国を、従わせようとする傾向がある。
このこととは関係外だろうが、ドイツやフランスは、『エルドアン体制下ではトルコは、EUに加盟することはありえない。』と言い始めている。これまでも、トルコをEUに加盟させるつもりはなかったが、ヨーロッパ諸国は大人のウソを、通してきていた。それがここに来て、露骨な表現に変わっているのだ。
それは、ヨーロッパ諸国やアメリカの、エルドアン大統領への対応が、今後、変わっていくことを、意味しているのではなかろうか。
世界の問題児、強硬発言の権化のような、エルドアン大統領に欧米の指導者たちは、うんざりしていた。IS(ISIL)問題に明らかな進展が見えてきた昨今、ヨーロッパ諸国はトルコに、シリア難民問題の解決を、依頼する必要は無くなっていこう。
アメリカも次第に中東への関心を弱め、トルコのインジルリク空軍基地の使用を、重視することも、止めるのではないのか。そうであれば、エルドアン大統領との関係が、悪化することは、あまり問題になるまい。トルコを含む世界の、時代は変わりつつあるのだ。