『リビアはシルテ奪還近い』

2016年8月29日

 

 かつて、カダフィ大佐の出身地だとされた、リビアの地中海沿岸都市シルテ市に、IS(ISIL)が侵入し拠点としていた。IS(ISIL)はここを、シリアのラッカに代わる、イスラム国家の首都にする、とも言っていた。それだけに、多くの戦闘員と資金、そして幹部と彼らの家族が、シルテに入った、と言われていた。

 しかし、シルテはあまりにも戦略的な、位置関係にあるため、リビア統一政府はここを、奪還することに本腰を入れ、アメリカなどにも、奪還作戦支援を依頼した。アメリカ軍はヘリや戦闘機を飛ばして、シルテのIS(ISIL)攻撃を、始めることとなった。

 これまで、シルテの攻防戦はトリポリに近い、ミスラタ市の戦闘員が主であったが、これに東側の政府の軍も参加し始め、IS(ISIL)側は極めて不利な戦いを、せざるを得なくなった。

 そしてついに、シルテのIS(ISIL)は追い込まれ、8090パーセントの支配地を、失ったと言われている。IS(ISIL)が本部としていた病院も、リビア統一軍などによって奪還されている。

 さてこれから先、シルテの支配はリビア側政府側に、移るのであろうか。現状からは、多分にリビア統一政府の勝利が、確実だと思われる。それは、IS(ISIL)の資金が枯渇し始めていること、その結果、IS(ISIL)側の戦闘員が戦線から離脱したり、IS(ISIL)から抜けるように、なって来ているからだ。

 現在のリビア統一政府は、国連がバック・アップして結成したとされているが、これはあくまでも表向きの話であり、実際にリビア統一政府を作ったのは、アメリカ、フランス、イギリスなどであろう。

 これらの国々が、そろそろリビアから蜜を吸い始めよう、としているということではないのか。そうであるとすればそろそろ日本もリビアへの接近を始めてもいいのではないか。

 今のリビアは危険だ、と言えばその通りだが、エジプトやマルタなどで、あるいはイタリアで、リビア側の代表と、接触することもできよう。リビアとの関係改善を図るからと言って、危ない橋を渡らなければならない、ということではないのだ。