『成果なしのバイデン訪土トルコ不満』

2016年8月25日

 

 アメリカのバイデン副大統領がトルコを訪問し、エルドアン大統領、ユルドルム首相、ジャウイーシュ外相、イスマイル・ハッキ国会議長らと会談した。しかし、何の成果も生まなかった、とトルコ側もアメリカも側も、判断したようだ。

 特に、トルコ側はギュレン氏引き渡しについて、明確な返答が得られなかったために、不満は募っている。バイデン副大統領は『我慢しろ。』とのみ応えたようだ。それは、オバマ大統領にはギュレン氏に関する、トルコ側の提示したギュレン氏と、クーデターを結び付ける証拠が、不十分だという判断に、立っているからだ。

 しかし、このことについて、トルコ側はウサーマ・ビン・ラーデンの場合は、不十分な証拠でも、軍事侵攻まで実施している、と反論している。

 バイデン氏は『特定の人物の引き渡しについて、それを実施しないことは、何の利益にもならない。』とも語ってる。そして、『問題は法的に引き渡しが、合法か否かのみにかかっている。』と言ったようだ。

 メリカにしてみれば、在米のギュレン氏と、トルコで715日に起こったクーデターと、直接結び付ける何の証拠も無い、ということであろう。

 トルコのエルドアン大統領は、当初一部の軍人が、クーデターを計画した、と説明し、次いでギュレンがそのバックで指揮していた、と言い出し、ついにはギュレン氏とCIAがクーデターを企てた、とまで語るようになった。

 これでは、何の理論的筋立ても、無いではないか。単にエルドアン大統領は、彼が政敵だと考える組織や人物を、証拠も無く極悪犯のように仕立て、逮捕投獄、そして処刑したい、と望んでいるに過ぎない。

 最初はエルゲネコンと呼ばれる、シャドウ・ガバメントのメンバーが、攻撃対象になり、次いで軍幹部が攻撃の対象になった。その結果、トルコ軍は正常に機能できなくなっている。

 軍幹部の次に狙われたのはギュレン・グループだったが、これは政府の官僚、検察、警察、判事、教員などもターゲットにされ、多くの解雇や逮捕を生んでいることから、トルコはいま国家として、機能し難くなっているのだ。

 こんなバカげたエルドアン大統領の、大粛清ゲームは近く、終わるのではないか、と予想している。それは、エルドアン大統領を取り囲む国際環境が、大きく変化してきているからだ。その事については、次回に書くことにする。