トルコの南東部にあるガゼンテペ市で、クルド人の(?)結婚式に対するテロ攻撃が起こり、30人が死亡し、94人が負傷した。負傷者のなかには重傷者もいることだろうから、これから死亡する者も何人もいよう。つまり、このテロで相当なダメージを、トルコは受けたということだ。
以前に起こった、イスタンブール空港へのテロでは、40人が死亡し、20人以上が負傷している。テロの規模は次第に、大きなものになっている、ということではないか。
このガゼンテペ市のテロ事件の前には、3日間でテロが4回起こり6人が死亡し、250人が負傷している。トルコとPKKとの間で、結ばれていた停戦合意が、2013年に破棄されて以来、トルコの治安部員が600人死亡し、PKK側にも7000人の死者が出ている、という報告がある。
現在のトルコは、クルドのテロ組織PKKと、IS(ISIL)という、二つの敵の組織と戦っているのだ。ガゼンテペ市で起こったテロ事件は、どうやらIS(ISIL)によるものだったようだが、これはトルコ政府が発表した、シリアへの徹底介入という決定を、揺るがすことになるかもしれない。
トルコでは7月15日に起こったクーデターで、関与していたと思われる軍人の多くが、更迭されたり逮捕・投獄されている。また、ギュレン組織との関係があるとして、同じような処罰を受けた、軍人も少なくない。
これではまともな対テロ作戦は、立てられないだろうし、情報収集活動もその分析も、不徹底なものとなろう。エルドアン大統領はクーデターで、彼の敵であるギュレン・グループを、一網打尽に捉え処罰することができたが、その結果軍は、多くの官僚や軍人の頭脳と戦闘員を、失ったということではないのか。
昨日、私の事務所を訪れた在米のトルコ人は、トルコの将来について、大きな不安を抱いており、『国家が機能しなくなっている。』と嘆いていた。彼の予測では、このまま事態が推移すれば、やがては内戦状態が、起こるだろうということだった。
アメリカは今後ますます、ロシアに接近するトルコに対して、疑念を抱き、シリアでの陸上戦闘や、空爆を強いるものと思われる。そうなれば、シリアのクルド、トルコのクルドが、より強硬な対応を、トルコに対して採るだろうし、IS(ISIL)もしかりであろう。
そう事態が進めば、トルコの軍部に不満が出ないか、ということが懸念される。これまでに、そしてクーデターを機に、一掃された多くの高級将校や、将軍たちは何もしない、ということであろうか。彼らは行動を起こす、タイミングを見計らって、いるだけではないのか。