『トルコが破れかぶれの経済政策』

2016年8月15日

 以前からトルコは経済的に、立ち行かなくなるのではないか、そして、その事が国民の不満を高めて、反政府の動きが起こるのではないか、と懸念して来ていた。それがここに来て、大分明らかになってきているようだ。

 このトルコの経済後退は、別に715日に起こった、クーデターによるものではない。もちろん、クーデターも影響を、及ぼしていることは事実であろう。クーデターが起こり、国内が不安定であるという印象を、諸外国に与えた結果、観光客は激減し、外国からの投資も取り引きも、大幅に減ったことであろう。

 しかし、それ以前に、トルコはギュレン・グループを、叩く事に専念した結果、中小企業を破産に追い込む政策を、展開していたのだ。マスコミだけではなく、中小企業の経営者を脱税容疑などで、吊るし上げていたのだ。

 トルコには外国企業の、組立工場はあるが、それ以外には大型製品や、高付加価値製品の、生産設備は無い。つまるところ、貿易は中小企業が生産する、繊維製品や、農産物ということになるのだ。それを叩いたのでは、トルコの経済が、進展するはずは無いだろう。

 今回トルコ政府は、低迷する経済の建て直しに、思い切った政策を発表した。それは、戦略部門への投資については、20年間の免税措置にする、ということであり、これらの企業に対しては、今後10年間に渡って電力料金を、据え置くというものだ。

 その戦略部門とは道路、建設要地の開発などであり、特にトルコ南東部やアナトリア地域での、開発を奨励している。つまり、そこには仕事が無く、失業者の不満が高いため、何とか失業率を下げたい、ということであろう。

 このため、トルコ政府は外国の企業に対して、コンサルタント・サービスを徹底するとも言っており、そのためのコンサルタント・センターも、開設する予定になっている。

 また、貿易を主体とする港の、建設なども奨励しており、低利率のローンも提供すると言っている。それ以外には核施設、鉄鋼生産施設、エネルギー施設などへの進出も歓迎している。トルコ政府はこれらの部門では、既に日本や韓国とは、1980年代から合意している、と主張している。

 このトルコ政府が今回発表した、外国企業誘致のための特別方針は、現在の経済状況がよく、それをもっと活性化するため、と言いたいところであろうが、そうではなさそうだ。

 副首相のメフメト・シムセク氏は、『当初45パーセントの経済の伸びを期待していたが、世界の経済状況やトルコ自身の経済状況から、45パーセントの経済成長は達成できないだろう。』と語っている。

それがまさに、正しいトルコ経済に対する、見方であろう。つまり、今回の大盤振る舞いとも言える、外国企業の誘致案は『破れかぶれの』の案ということではないのか。今回の方針が動き出せば、下手をすればかえって、トルコは大赤字に、なりかねないのではないのか。

そして外国企業に、トルコの経済を完全に、牛耳られることになる危険性も、あるのではないのか、と心配になるのだが。