イランの最高権威者である、ハメネイ師の国際問題アドバイザーである、アリー・アクバル・ヴェラヤテイ氏が、アメリカやサウジアラビアの、シリア対応について非難した。
彼は、『シリアの将来について、決定権があるのはシリア人であり、アメリカやサウジアラビアではない。』と語った。また『シリアの国内問題に立ち入って、アメリカやサウジアラビアが、調整をすべきではない。』とも語っている。
これは正論であろう。アメリカにしろサウジアラビアにしろ、シリアの内戦をどういい方向に、解決に向けるかというよりも、それをどう自国の利益に、繋げていくかを、最優先で考えているからだ。
これでは、シリア国民にとっては、迷惑な話であり問題解決の、邪魔にしかならないであろう。アメリカはシリア内戦を創り出し、シリアを支配できる状態にし、湾岸の石油やガスの搬出ルートを、創ることが目的なのは、見え見えではないのか。
サウジアラビアはアメリカの、そうした意図を支持し、やはり、国益を最優先している。加えて、シリアの政権がシーア派のアラウイ教徒によって、支配されている状態に、終止符を打ちたい、ということであろう。
サウジアラビアやアメリカは、この目的のために、過激なイスラム集団を、裏から支援していることや、反政府シリア集団なるものを、支援していることも明らかだ。
こうしたアメリカとサウジアラビアの目的に、ほころびが出始めたのは、シリア政府の正式な要請を受けて、ロシア軍がシリアに進出し、IS(ISIL)など反シリア勢力に対する攻撃が、始まったことによる。
その結果、シリア政府の要請を受けない、シリアへの介入は、正当なものではない、という認識が国際的に広がり、ロシアに対する支持が、強まったのではないのか。
今回、イランのハメネイ師のアドバイザーが、語ったことは正論であろう。近い将来、問題がしかるべき結果を、生み出さなければ、結果は、アメリカのシリアからの撤退と、サウジアラビアの国内不安の拡大に、繋がるのではないか、と思われる。