『欧米リビアの石油に不安・強硬策も』

2016年8月11日

 

 アメリカやフランス、イギリスは、リビアの石油輸出に大きな関心を、持ち始めている。2011年に起こった革命で、カダフィ体制を実質的に打倒したのは、実はこれらの国々だった。

 これらの国々は、リビアの人民による蜂起、革命闘争という美名の影で、カダフィ体制攻撃を、繰り返していたのだ。その理由は述べるまでも無い。リビアの石油資源を、牛耳るためだった。

 その後、リビア国内は四分五裂状態になり、戦闘が6年にも渡って続き、いまだに確固たる統一政府は、出来上がっていない。まさに群雄割拠、戦国時代の状態にあるのだ。

 西側はこの状態のリビアに、IS(ISIL)を送り込み。混乱を一層複雑なものにしている。ここに来て、欧米各国がIS(ISIL)打倒に乗り出したのは、リビア政府をコントロール出来るようになった、と判断したからではないか。

 リビアにはいま、三つの勢力が存在している。一つは最初に国際的な認知を受けた、リビアの東の街トブルクに本部を置くトブルク政府、国連などによって創られた、西のトリポリに本部を置くリビア統一政府、そして、ミリシアをバックにした議会だ。

 今回欧米が騒ぎ出しているのは、シルテ市に近いズエイチナ・オイル・ターミナルのコントロールをめぐるものだ。このズエイチナ・オイル・ターミナルはリビアにある、三大オイル・ターミナルの一つであり、石油輸出の上では極めて重要な施設だ。

 このズエイチナ・オイル・ターミナルが、破壊されることになれば、欧米諸国はリビアの石油を、輸入できなくなるからだ。2011年の革命開始前には、リビアは160万バーレル・日の石油を、生産していたのだ。

 このズエイチナ・オイル・ターミナルの警備は、石油施設ガード(PFG)によって行われているが、最近、東のトブルク政府のリビア国家軍(LNA)と、PFCとの間で、小規模な武力衝突が起こっている。

 つまり、明らかに石油をめぐって、リビア統一政府と東のトブルク政府との、対立が存在しているということだ。リビア統一政府のセラジュ首相は、アメリカに対して、IS(ISIL)のへの空爆は依頼しているが、大規模な陸軍の介入は、拒否している。

 もし、それすらも認めることになれば、セラジ首相は国連や欧米の傀儡であり(実際そうなのだが)、リビアにとっては売国奴、ということになるからであろう。