『中東は科学者受難の時代か・将来に不安』

2016年8月 7日

 

 イランの核科学者が、2010年に逮捕されていたが。彼は最終的に処刑された、というニュースが伝わってきた。彼の名はシャフラム・アムリ氏で1977年生まれだ。しかし、その後、彼の家族には、首に絞首刑の跡ある遺体が、返却されている。

 シャフラム・アムリ氏はイランを代表する、核科学者だったが、2009年にハッジでサウジアラビアの聖地メッカを、訪問しているおりに、何者かによって捕まえられ、以来不明となっていた。

 その後、彼はCIAによって、捕まっていたことが明らかになり、CIAによって薬物などを使用し、イランの核開発状況に関する情報を、引き出されたということのようだ。

 シャフラム・アムリ氏は2010年、アメリカの収容施設から、脱出に成功して帰国し、英雄的な歓迎を受けたのだが、その後、イランの核に関する情報を、アメリカ側に明かしたことで、逮捕され投獄されていた。

 トルコでも今回のクーデターを機に、167人の科学者が逮捕され投獄されている。彼らの場合はギュレン氏との関連があった、ということが逮捕の理由なのだが、それは当然と言える部分もある。

 トルコではギュレン氏が主導する、進学学校を卒業し、トルコの一流大学に進学した者が、少なくない。彼らはその後、各官庁に就職し、警察、検察、裁判所、マスコミなどで活躍している。

 多分、今回逮捕された167人は、科学の分野で相当の実力を、発揮していた人達だと思われる。ギュレン関係者は酒を飲まず、タバコも吸わず、ましてや、女性にうつつを抜かすことも無い、真面目な人達がほとんどだ。

 こうした優秀な科学者たちが、逮捕されるということは、トルコの将来にとって大きな損失であろう。クーデターに直接関わっているわけも無い科学者たちが、クーデターの背後にギュレン氏がいたという嘘で、逮捕されるということは、実に馬鹿げている。

 科学者たちは総じて、その国の将来を発展させる、機動力なのだが、それだけに国家の高度な機密に、接する機会も多いのであろう。だからといって、彼らを疑惑の目で監視するのは、いかがなものかと思えるのだが。