つい先日、アメリカ軍はリビアのシルテに陣取る、IS(ISIL)を空爆死した。これはリビア統一政府セラジュ首相の、意向だったようなのだが、リビア国民皆が、歓迎しているわけではない。
リビア議会は早速反発し、アメリカ大使を呼び事情説明を求めている。それはそうであろう。アメリカは支援と言いながら、実は自国の利益のために、相手国を攻撃し、破壊だけを残している。
アフガニスタンがその好例であろうし、イラクもそうだ。そして、シリアで展開されている状況も、決してシリア国民のために、なっているとは思えない。結局は、長期に渡るアメリカ軍の関与が、戦闘を長引かせ多くの国民が、犠牲になっているのだ。
いまの時代は、衛星放送のテレビが、臨場感を一杯に、アフガニスタン、イラク、シリアで何が起こっているのかを伝えているし、インターネットもしかりだ。アメリカがごまかそうとしても、そうは行かなくなっているのだ。
アメリカは世界のマスコミを牛耳れば、アメリカの出鱈目がバレず、最終的にはアメリカの国益にプラスになる、と考えているのだろうが、実際はそうはいかない。最近、多くの国々がロシアに対する評価を高め、関係を促進しているのは、アメリカ嫌いと不信の結果であろう。
アメリカがリビアのシルテに陣取っている、IS(ISIL)を攻撃するということは、アメリカがリビアの富を奪い始めた、ということであろう。そもそも、カダフィ体制打倒のリビア革命は、全面的にアメリカの意向を受け、支援を受けたものだったのだ。
以来、アフリカで最も富む国、といわれたリビアの国民は、今日食べるパンに、事欠く始末であり、多くの国民が内戦で、犠牲になってもいる。IS(ISIL)がリビアに入った目的は、リビアの石油を支配することだが、それ以外にリビアを橋頭堡として、アフリカ全域に拡大していく、意図があってであろう。それはアメリカの、意図するところなのだ。
5年以上にも及ぶリビアの内戦と、IS(ISIL)の台頭で、大分疲弊したリビアに国連という名の集団によって、リビア統一政府が送り繰り込まれた。セラジ首相がその代表者だが、この政府の前には、トブルクのリビア政府が、国際的に認知を受けていた。
つまり、アメリカやヨーロッパは2頭建の戦車で、リビアを蹂躙するということなのであろうか。リビア統一政府のセラジュ首相、そしてトブルク政府のハフラル将軍がその戦闘馬なのだ。
このアメリカの利益介入を見て、フランスがやはりセラジ政府を支援する、軍事行動も辞さずと言い出し、続けてイタリア政府が、セラジュ政府に対する、軍事支援を言い出している。
このことは、リビアが食べ頃になったので、各国は出て行くということであろう。もちろん、イギリスもその美味しい食べ物に、手を出さないわけは無い。イギリスは全ての強盗国家の、調整役を買って出るであろうし、一番大きな一切れを、手にするのであろう。