『中東短信』

2016年8月 2日

 

M・アッバースの奇異な行動とイランの反応 

 イラン政府はパレスチナ自治政府のM・アッバース議長を、CIAのエージェントだと非難した。この発言はイラン外務省の、フセイン・シェイク・アルイスラム顧問によるものだ。この過激な発言が出てきたのには、それなりの理由がイラン側にはある。

 

 M・アッバース議長はパリの自分が滞在しているホテルに、MKO(ムジャーヒデーン・ハルク組織はイランの反体制組織)のリーダーである、マリヤム・ラジャブ女史を招待して話し合ったからだ。この話し合いの内容について、WAFA(パレスチナ通信社)は中東地域のスンニー派の連帯を、探るものだったと説明している。

 

 しかし、イラン側はこのM・アッバース議長の行動を許さず、彼をCIAのエージェントだ、と非難した。イラン側の主張によれば、M・アッバース議長は CIAのエージェントとしての役割を、だいぶ前から担っていたということだ。そし、そのことはこれまでの彼の行動から、明らかだとも語っている。

 

:アメリカ機シルテでIS(ISIL)空爆

 リビア統一政府のセラジュ首相の依頼と、国連の合意を得て、アメリカはリビアのシルテに陣取る、IS(ISIL)を空爆した。これまでに、アメリカ軍機は今年の2月と、昨年の11月に同じ行動をとっているが、その時はリビア統一政府の依頼も、国連の合意も得ないものだった。

 このアメリカ軍機による空爆で、IS(ISIL)側は相当のダメージを受けたようだ。アメリカやヨーロッパ諸国は、リビアがIS(ISIL)の拠点国家になることに、強い懸念を抱いてきていたが、今回の行動はその結果ということであろう。