『ギュレン氏甥が書いたとされる文章公開』

2016年7月28日

 

 トルコのエルドアンア大統領は、ギュレン氏が余程憎いのであろう。それは分からないこともない、絶対的権力を持つに至った、エルドアン大統領にとって、ギュレン氏とその組織ヘズメトは、最後の敵なのだから。

 今回715日に起こったクーデターでは、このギュレン氏をクーデターの黒幕だとして、非難し続けている。アメリカに対しても、ギュレン氏がクーデターに関与していたのだから、引き渡せと迫っている。

 アメリカはこのトルコ側の要求に対して、しかるべき確たる証拠が、出てこない限り、そうはしないと返答している。アメリカ政府はエルドアン大統領のような、独裁体制ではなく、あくまでも法律によって、運営されている国家なのだから、当然の返答であろう。

 そこで、トルコ政府が考えだしたのは、ギュレン氏に関連する人物を、引き出して、彼らがクーデターの後ろにいた、というイメージ作りだ。もちろ、ギュレン氏の関係者たちには、それほど愚かな者たちはいないと思うので、ありえないことなのだが、何度も繰り返していると、嘘も本当になって行くのが社会の怖さだ。

 今回引き合いに出されたのは、ギュレン氏の甥にあたる、メフメト・メズヘル・ギュレンという人物に宛てて、書かれたと言われるメモだ。

 このメモはクーデターを起こした人物に関して、メフメト・メズヘル・ギュレンの友人が、同氏に対して質問する形の内容が、書き込まれている。文章の内容はおよそ、次のようなものだ。

『メズヘル様

クーデターは起こりましたね。しかし失敗に終わったようですね?我々の友人たちは十分な計画を、立てていなかったようですね。これから何が起こるのですか?兄弟これから再度、クーデターが起こるのですか?いま我々は何をすべきなのですか?彼らが我々に害を及ぼさないことを望みます。』

 メフメト・メズヘル・ギュレンはトルコ全域で運営されている、ヘズメトの学校の総責任者だということだが、このメモは彼に宛てて書かれたものだということだ。しかし、彼に宛ててメモを書くのは誰にも出来よう。もちろん政府側エルドアン側の人物によっても、書くことができよう。

 アメリカが言うように、ギュレン氏とクーデターの関連を、このメモは明確に示すものには、なりえない。

 それでも百篇繰り返せば、このメモはギュレン氏の仲間によって書かれ、ギュレン氏の甥に宛てられた、ということになろう。恐ろしいのは、権力側による刷り込み効果と、マスコミの支配だ。