『リビアで二つの動きが始まる』

2016年7月25日

 

 ここに来て、リビア国内の動きに、変化が生まれている。それは以前からあったと、言えばそれまでの話だが  どうもそればかりではないようだ。新生リビア統一政府軍が、本格的な戦闘を始め、しかも一定の成果を、生み出しているのだ。

 また、統一政府とは異なる、ベンガジに拠点のある革命諮問会議なる組織が、リビア国民に新たな戦いを、呼びかけている。それはIS(ISIL)を敵に回すというよりも、フランスやアメリカ、イギリス軍に対抗しろ、と呼びかけているのだ。

 この革命諮問会議がIS(ISIL)と、連携しているかというと、その明らかな証拠はない。従って、リビア国民のなかで始まった、独自の闘争なのかもしれない。革命諮問会議は『北アフリカから外国の軍隊を追い出せ。』と叫んでいる。

 そして、リビア人の宗教を防衛すべきだとし、外国の軍隊が駐留することは、外国によるリビアの領土に対する、侵略だと非難してもいる。

 フランス政府はこれまで、リビアに自国の軍隊は入っていないとして、リビア国内のフランス軍の存在を、否定してきたが、先日、フランス軍のヘリコプターが墜落し、犠牲者が出たことにより、秘密の駐留を隠せなくなったのだ。

 アメリカやイギリスは、リビアへの自国軍の派兵を、正式に認めている。このアメリカやイギリスなどのNATO軍は、2011年のリビア革命勃発時から、リビア国内に入り、反カダフィ派を支援してきていたのだ。

 これから先も、アメリカやイギリス、そしてフランスは軍を駐留させ、新生リビア統一政府を支援してくものと思われるが、これに対して他のグループは敵対姿勢をとるのか、そして新生リビア統一政府の前に、国際承認されていた、ハフタル将軍などが加わる、東リビア政府はどう出るのか、極めて複雑な状況が生まれてきているということだ。

 そのとこは、述べるまでもなく、今後、リビアでは戦闘が激化する、ということかもしれない。ただし、リビアのシルテではIS(ISIL)の運営していた、最大の爆薬工場が新生リビア統一政府軍によって、奪取されてもおり、今後IS(ISIL)が大きく勢力を挽回するということは、無いかもしれない。

 そうであるとすれば、いま始まった新たなリビア国内での動きは、将来のリビアに向けた、権力闘争という国内闘争、ということになるかもしれない。