トルコのエルドアン大統領は、クーデターを抑えることには成功したが、その後の状況は、決して楽観を許さないようだ。既に、一部では今回のクーデターについて、インサイダー・ゲームだった、という説が出ている。
つまり、クーデターはエルドアン大統領によって、企てられたということだ。確かに、以前にも書いたが、クーデター発生後の彼の動きには、納得のいかない点が、幾つもあった。
しかし、この段階に入ると、それよりも、クーデターが起こったことによって、その後のトルコはどうなるのか、ということの方が、関心の的になっているのではないのか。
ムーデイズもS&Pもトルコに対する、評価を下げている。政治的にも経済的にも、相当状態は悪化した、という評価をし、銀行が苦しい状況に追い込まれているが、助け舟は無い、ということのようだ。
加えて、トルコの首都アンカラ市の警官900人が、足止めされてもいる、それ以外には、大学の学長や学者の国外行きが、指し止めされてもいるし、6万人の公務員が、逮捕、拘束されている、あるいは首になった、という情報も飛び交っている。
一体、これでは誰が今後のトルコを、運営していくのか、という疑問が沸いて来る。もちろん、逮捕にしろ、拘束にしろ、各部署の上の方が、先に狙われたのであろうから、企画立案指揮命令の組織としての力は、大幅に低下したのであろう。
これでは、まともな国家運営は出来ない、ということであり、現在、トルコが直面している経済、国防、治安、外交その他の活動は、レベルを低下させ、緊急の問題処理は、出来なくなっている、ということであろう。
そうしたなかで出てきたのが、IS(ISIL)に参加する戦闘員が、いまだにトルコ経由で、イラクやシリアに向かっている、という情報だ。それはいまでも、毎週100人を超えている、ということだが、これまでとは異なり、ロシアだけではなく、アメリカもこのニュースに、不快感を覚えていよう。
その結果、トルコは問題国家だという認識が、ロシアを始めヨーロッパ諸国でも、アメリカでも拡大し、定着していくことになろう。その後には、当然、トルコに対する何等かの国際的な制裁が、待ち受けている、というとであろう。
今回のクーデターを潰した、と喜んでいるエルドアン大統領の未来には、極めて厳しい国際制裁が、待ち受けているということであろう。