イランもトルコと同じように、国内的混乱の時を迎えているようだ。それは、ロウハーニ大統領とハメネイ師の、意見の対立から生まれている。ロウハーニ大統領は核問題の処理を進め、西側との良好な経済関係の構築を期待されていた。
イランはいま、石油価格の低迷により、国家収入が激減しており、外国からの投資も、ままならないような状況になり、先行きの希望は無い。
現段階では、西側との経済関係には進展が見られず、西側からの大口投資はほとんど始まっていまい。核問題についても一進一退であり、アメリカの厳しい締め付けはいまだに続いており、ロウハーニ大統領が妥協を重ねても、期待するような成果は出て来ていない。
このため、イラン国民の間には、不満が鬱積してきているし、ハメネイ師はロウハーニ大統領の、必要以上の西側への妥協を、よしとしていない。ハメネイ師は自身の地位の不安定化もあり、ロウハーニ大統領を血祭に挙げ、自身の身の保全を図る、つもりなのかもしれない。
この場合、革命防衛隊はどちらに付くのか、ということが決定的要因となるが、現段階ではハメネイ師に対する、不満はあるものの、革命防衛隊はいまだにロウハーニ大統領よりも、ハメネイ師を支持している。しかし、それは強固なものではないようだ。
ハメネイ師は国内の、締め付けを行うことによって、自身の身の保全を図ろうとしており、15万人を抱える革命防衛隊を、その道具とするつもりだが、ロウハーニ大統領を外した後に、適当な人物がいるかというと、そうでもないようだ。
ハメネイ師にとって革命防衛隊は、よりどころではあるが、ロウハーニ大統領の適当な後任探しに手間取れば、革命防衛隊が暴走することも、ありうるだろう。そうなれば、ハメネイ師はロウハーニ大統領を、厳しい監視の下に置き、彼の権限に制約を加え、次期選挙でも当選させる、可能性はある。
問題は、ハメネイ師にはいまだに、資金運用の権限があり、治安軍を配下に置き、公共放送を支配しており、宗教権威の会議を、牛耳っていることだ。そのことが、ハメネイ師の立場を、守っているということだ。
ハメネイ師はいまだに、革命思想を堅持しており、西側への経済の抵抗闘争を、主張している。しかし、それはイランが現在抱える、問題解消には役立たない。イランの強硬派は、そうしたなかで、下手な新大統領候補を立てれば、イランは政治的にも経済的にも、外交的にも失敗する、リスクが存在するのだ。
先日銀行の頭取が、法外なサラリーを受け取っている、ということがイラン国内で、大問題になったが、貧富の差は広がっており、国民の不満はそれに応じて、拡大している、ということだ。
イラン国民が国際関係のなかで、ロウハーニ大統領の忍耐強い手法を、よしとするか、革命的大改善を期待するのか。前者であって欲しいものだ。そうでなければ、この国も危険な状態になり、イランの石油供給も、危険になるということだ。