『サイフルイスラーム釈放の可能性浮上』

2016年7月 7日

 

 リビアのカダフィ大佐の二男である、サイフルイスラームは2011年のアラブの春革命のなかで、カダフィ体制が打倒された後に、南部で逮捕され、その後、南西部の街ズインタンで、拘束され続けてきていた。

 革命後のトリポリの歴代の政府は、ズィンタンの部族に対して、サイフルイスラームの引き渡しを要求したが、ズィンタンの部族には受け入れられず、サイフルイスラームに対する死刑判決も、実行できないままで来た。

言ってみれば、サイフルイスラームはズィンタンの部族にしてみれば、大事な客人であり、もてなされ、守られ続けてきた、ということであろうか。

 それには裏があり、サイフルイスラームが父カダフィ大佐の隠匿した、資金や金のインゴッド、武器などのありかを、知っているからであろう、と言われてきた。それをズインタンの部族は、聞き出したいがために、サイフルイスラームを手厚く、保護してきたのではないか、ということだ。

 これまで、ヨーロッパ諸国もサイフルイスラームの引き渡しを、強く要求してきたが、成功しなかった。このヨーロッパの動きの裏にも、カダフィ大佐の隠匿資金が、あったからではないか。以来、サイフルイスラームに対する対応は、こう着状態になり、今日に至っている。

 ところがここに来て、突然、サイフルイスラーム釈放の情報が、飛び交い始めている。これはカダフィ大佐の出身部族カザーズィファ族の要望と、サイフルイスラームの弁護士などの努力によるものであり、リビア政府も対応を変更しつつあるようだ。

 サイフルイスラームに近い人物の話によれば、カザーズィファ族の長老会議が、リビア政府にサイフルイスラームの釈放の要望書を提出し、それが正式に受理され、人道的な対応がとられそうだ、ということのようだ。

 サイフルイスラームが釈放されれば、彼の意志とは別に、彼を担ぎ出そうとするグループが台頭し、リビアの政情はますます混乱するかもしれない。もし、そうなった場合、東リビア政府の軍のトップにいるハフタル将軍は、どのような動きに出るのであろうか。

彼はカダフィ大佐によって、チャド戦線に送られ、その後、アメリカに亡命し、CIAによって匿われ、保護され続けてきていた人物だ。彼はその後、2011年のリビア革命が始まった途端に、リビアに舞い戻った人物だ。

かつてのいきさつは別に、ハフタルは現状を有利に運ぶために、サイフルイスラームと結託する可能性も、否定できないのではないか。もうここまで考えたのでは、活劇の世界の、推測であろうか。