『イランにもIS(ISIL)が侵入』

2016年7月 6日

これまでほとんど聞かれなかった、イランでのIS(ISIL)のテロ活動が、ここに来て表面化してきている。これまでは、イランにとってのテロリスト活動の脅威は、もっぱらクルドの組織、PJAKによるものだった。

PJAKによるテロ活動は、相変わらず継続しており、イラン政府は厳しい対応をしている。そのことに加えて、イラン政府はIS(ISIL)のテロ活動の阻止が、必要になってきている、ということだ。

最近、大規模なIS(ISIL)によるテロが、首都のテヘラン市を始め、多数の都市で計画されていることが、明らかになった。IS(ISIL)のメンバーが逮捕され、彼はテレビに出され、犯行計画の一部を明らかにしたようだ。彼等が話しているのはペルシャ語だ、つまりイラン国民の可能性が、高いということか。

その内容は、テヘランだけで50のポイントが、テロの対象に挙げられていた、ということであり、この犯行に使われる特攻用の車両も、イラン・ナンバ-の車が、購入されていたということだ。

イランの情報省は彼らの動きを、秘密裏に追跡してきており、その活動の一部始終が、ビデオに記録され、明らかになっている。彼らIS(ISIL)のテロリストたちは、テヘラン市以外に3州でも、テロを計画していたということだ。

イラン情報機関は過去数週間の間に、12人のIS(ISIL)メンバーを既に逮捕し、取り調べを始めているが、テヘラン市だけでも10人が逮捕され、100キロの爆薬も発見されている。

イラン政府は同国に対する、テロ活動に対して、アメリカやイスラエルの策謀だ、というスタンスを採っているようだ。イラン政府の軍高官たちは、口をそろえてアメリカとイスラエルを非難している。また、アラブ湾岸諸国の陰謀だ、とも語っている。(サウジアラビアを指しているのであろう)

ただ、今回のイラン国内での、IS(ISIL)テロリストの摘発では、私の知る範囲では、テロリストの国籍が明らかにされていない、ということだ。テレビに映されたテロリストの顔からは、イラン人なのかアラブ人なのか、その他の国の人間なのかは、判断しかねる。

ただ、比較的に穏やかな人物の顔、という印象を受け、イラン人ではないかとも思われる。もし、その推測が正解であれば、イラン国民の若者の間にも、IS(ISIL)の影響が出始めている、ということであろう。

もう一つのいやな推測が許されるならば、イラン国民の間では、政府に対する不満が、募ってきており、反体制の動きが、活発になってきていることから、イラン政府がIS(ISIL)を口実に、大量逮捕を行うのでなないか、という気もする。真相は不明だ。