7月10日シリアのアサド大統領は,ヨーロッパの議会代表団メンバーと会談した。ヨーロッパの議員代表団は、同議会の外交問題評議会の副議長、ジャビエールコウソ氏を団長に、シリアのダマスカス市を訪問した。
アサド大統領はこの会談のなかで、欧米のテロへの支援が、問題の核心であることを、説明している。彼は西側諸国の政府が、シリアの反体制派を支援していることが、問題の核心だと語り、それがテロリズムや過激主義、難民問題を生み出していると指摘した。
現在の段階では、国連はヌスラとIS(ISIL)を、テロ組織と認めているが、それ以外のシリアの反体制派組織は、テロ組織として認めていない。
このアサド大統領の指摘は正しかろう。西側諸国が無理やりシリア国内に,反体制運動を創り出し、トルコなどが反体制各派を支援し、反体制派の戦いが5年の長きにも,及んでいるのだ。
トルコやカタールなどに加え、西側諸国政府は、シリアのアサド体制を打倒しようと、執拗な攻撃を反体制派に、継続させているのだ。その結果、ヨーロッパ諸国には、100万人を超えるシリア難民が、流入することとなり、間接的にはイギリスの、EU離脱の原因にもなっている。
アサド大統領が語るように、シリアの体制打倒という問題が、結果的にはブーメラン現象で、ヨーロッパ諸国に跳ね返って、きているのだ。アメリカ国内で起こっている,黒人の暴動、連続して起こっている、警察官殺しも、その一環であろう。
先日,オバマ大統領はシリア問題の解決が, 出来ないことを理解し、この問題の処理をロシアに任せたようだ、という評論がネット上に、書き込まれていたが、ヨーロッパ諸国も今までとは異なる、対応をする必要を感じて、今回の代表団をシリアに、派遣したのではないか。
ドイツはトルコのインジルリク空軍基地から、自国機を撤収する、と言い始めてもいる。これらのことは、シリア問題が解決に向かうことを、予感させているのではないか。
トルコ政府も、ここに来てアサド体制の存続を、承認する方向に向かい始めてもいる。最近になって、トルコ政府は『近隣諸国との関係を改善する。』『トルコの外交方針を大幅に変える。』と言い出しているのは、シリアがその中心のテーマに、なっているのかもしれない。