アラブ湾岸諸国の一つであるバハレーンは、サウジアラビアと橋でつながる出島のような国である。この国は最も古く、石油を産出し始めた国であり、現在ではサウジアラビアの石油を、自国のものとして輸出し、産油国としての体面を保っている。
従って、サウジアラビアとの関係は、ほぼ同一国家と言っても、過言ではないほど、強い関係にある。サウジアラビアにとっては、バハレーン国内の安定が直接的に、影響してくることも心配だ。バハレーンはシーア派が過半数の国であり、サウジアラビアのアルカテイーフ地域も、シーア派がほとんどの人口を占めている。
そのバハレーンでは、過半数がシーア派国民であるにもかかわらず、スンニー派の首長(国王)が統治しており、シーア派国民は差別の対象となってきている。このため、シーア派国民による同等の権利を求める、抗議運動が起こり、既に4~5年が経過している。もちろん、シーア派の抗議活動は、それ以前から起こっていた。
シーア派による抗議行動が活発化したため、バハレーン政府はシーア派の活動家リーダーである、シェイク・アリー・サルマン師を逮捕し、投獄していたが、最近になって刑期を、9年延長した。
バハレーン内務省は、もう一人のシーア派の精神的リーダーである、アヤトラ・イーサ・カースム師に対して、市民権を剥奪する決定を下した。このことは、今後相当危険な状況を、バハレーン国以内に生み出すかもしれない。
世界のシーア派の総本山であるイランからは、バハレーン政府に対する警告が出され、シーア派国民に対する檄が飛んでいる。革命防衛隊のスレイマーニ将軍は、バハレーンのシーア派国民に対して『武器を取れ!』と発言したのだ。
イラン政府はこれまで、バハレーンのシーア派国民によるデモが続くなかで、これほど明確な政府非難はしなかった。しかし、今回は『武器を取れ!』とまで語っているのだ。その事は、革命防衛隊がバハレーンのシーア派国民に対して、武器を提供することを、意味していよう。
過去にも武器の密輸が、バハレーン政府によって発覚しており、それはイラク・シーア派からだった。これからは、対岸のイランから武器が送られ、しかも、それは本格的なものとなろう。海上では革命防衛隊の艦艇と、バハレーン海軍の衝突もありえよう。
バハレーンにはアメリカの海軍基地があり、国内が混乱することは、アメリカ海軍の活動に悪影響が出る。このため、アメリカ政府はアヤトラ・イーサ・カースム師の市民権は剥奪対して、早い段階で反応を示し、懸念を述べている。