イランの首都テヘランで6月10日に、ロシア・シリア・イランの国防相会議が、開催される。そこで何が話し合われるのかは、今後の中東情勢を考えるうえで、極めて重要であろう、と思われる。
ロシアからはセルゲイ・ショイグ国防相、シリアからはファハド・ジャーシム国防相、イランからはホセイン・デフガン国防相が、参加することになっている。
公表されている討議テーマは、対テロ闘争・防衛ということになっているが、同時に、シリアのアサド体制をどうするか、ということも話し合われる。もちろん、シリアからは国防相が参加しており、アサド大統領を引きずり降ろすような話は、出てこないだろう。
アサド大統領は欧米諸国の、シリアに対する敵対的な対応とは異なり、ロシアや中国、イランなどが、友好的な支援をしてくれていることに、感謝の意を表している。同時に、アサド大統領はレバノンのヘズブラにも、感謝の意を表している。
この3国の国防相が、一堂に会するということは、今後の軍事面での協力が、当然話し合われるということであり、イランはアメリカに対する対応で、ロシアの支援を受けたいだろうと思われる。ロシアはイランに対して、兵器を輸出することに加え、今後の経済協力、そして、湾岸諸国との関係で、支援を受けたいし、シリアでの協力も必要としていよう。
シリアは述べるまでもなく、防衛支援をロシア・シリア両国から、得たいということだ。現在シリアには、ロシア軍が駐留しており、イランも陸上部隊を派兵している。それがかろうじて、アサド体制を崩壊から守っている、ということだ。
この会議から、どのような3国間の連携が、生まれてくるかは分からないが、欧米諸国はこれまで以上に、これら3国の今後の動きを、警戒することは確かであろう。そしてそのことは、シリアのアサド体制の今後について、欧米が妥協を示してくる、可能性を引き出すかもしれない。
ロシアもまた、今回の会議でイランやシリアとの間で、欧米に対して、示すかを話し合おう。
シリアの今後については、幾つかの案が出ている。
1)シリアのアサド体制をこのまま存続させる。
2)シリアを分割し、アサド大統領にとって安全な、アラウイ国を創設し、独立国家とする。
3)シリアをクルド、アラウイ、スンニーの3地域に分割し連邦共和国とする。
4)アサド体制を打倒して全く新しい体制にシリアを創り変える。
もちろん、欧米にとっての選択肢は(3)か(2)案であろうか。今の状況では(4)の案は不可能であろう。