イランの最高指導者ハメネイ師が、最近極めて強硬な発言を、し続けるようになってきている。彼には将来のイランについて、しかるべき不安があるのであろう。
ハメネイ師は『アメリカを信用してはいけない、アメリカと取引してはいけない。』と言っているのだ。つまり、アメリカは信用できない国家であり、その国と下手な交渉をすれば、アメリカの術中にはまってしまい、結果的にイランは敗北することになる、と言っているのであろう。
しかし、ハメネイ師が幾らそう言っても、イラン国内外の状況は、彼の意向とは、まるで違ってきているのではないか。経済制裁が解除され、イランの貿易も自由の幅がひろがって行くにつれ、イラン国民の多くは、イラン国民の自由も拡大していくと期待し、それに沿った行動をし始めている。
例えば大学生の男女が集まってパーテイを開いたり、ささやかなことでは、スカーフから出る髪が多くなったとか、カラフルなものを身に着けるようになった、という具合にだ。
先日紹介されていた話は、女子大生がボーイ・フレンドと隠れて、初めてアルコールを口にした話だった。彼女はアルコールを飲んだことのスリルと、酒の味に魅了されたようだった。
その記事には、アルコールばかりではなく、イランの若者の間では、麻薬も広がっている、と書かれてあった。こうした変化は、ハメネイ師が一番厳しく、取り締まりたいことであろうが、そろそろ、そうも行かなくなってきているのではないか。
イスラム法学者の間にも、規制緩和の傾向が見られるのであろう。そのために、ハメネイ師はあせっているのではないか。ハメネイ師の革命防衛隊賞賛発言や、シリアやイラクへの義勇軍の派兵意見、そして故ホメイニ師に対する礼賛といった発言は、将来に対する不安から、何とかイラン国内をもう一度、締め直そうということだと思う。
しかし、彼の健康不安が噂され、彼の余命は長くは無いのではないか、という情報もあり、ハメネイ師の締め付けは、成功しないかもしれない。
社会のタガが緩み始めると、それを締め直すのは、容易なことではあるまい。