『本格化し始めたのかリビア統一政府のIS攻撃』

2016年6月17日

 

 これまで膠着状態のような形になり、なかなか勝敗の決着がつかなかったリビアのシルテ戦は、ここに来て進展が見え始めている。すでにシルテ市のほとんどを押さえているのは、リビア統一政府の軍隊であり、IS(ISIL)の反抗は、うまく機能していないようだ。

 このため、IS(SIL)側はシルテ市から逃れ、シルテ市とミスラタ市の中間にある、アブ―・ガラインに拠点を置き、ここの警察署を襲撃する、特攻作戦を敢行している。このアブ―・ガライン市は、ミスラタ市から東に100キロの地点ある。

 IS(ISIL)側は何とかして、シルテ市から抜け出し、他の地域あるいは外国に、逃亡しようと、懸命の努力をしている、ということであろう。

しかし、いまになってみれば、2014年にIS(ISIL)がリビアに入り、シルテ市を攻略したのは、嘘のような話に思える。

IS(ISIL)はあっという間にシルテ市を占拠し、ここをシリアのラッカ市に次ぐ、IS(ISIL)の首都と宣言していたのだが、あまりにももろく崩れ去ってきているのだ。

 シルテの攻防では相当の死傷者が、リビア側にも出ているようだ。なかでも、ミスラタ出身の兵士のなかには、多くの死傷者が出ている。このため、リビア統一政府は、戦争で負傷した負傷兵を、アルジェリアの軍病院で治療させるよう、アルジェリア政府とチュニスで交渉をし、その合意に至った。

 これまでも、負傷兵が非公式には、アルジェリアに運ばれていたようだが、これからはリビア兵の、アルジェリアの病院での治療が、本格的に行われるということであろう。

 負傷兵はミスラタ市から、直接アルジェリア南部のワルカラ市の、病院に運ばれる手はずだ。すでに、30人の負傷者がワルカラ市の病院に運ばれ、治療が始まっている。

 このリビア統一政府と、アルジェリア政府との間で交わされた、負傷兵の治療受け入れ合意は、今後、リビア統一政府がリビア国内で、しかるべき信頼を勝ち得ていくことにつながろう。

 現時点ではチュニジア政府、アルジェリア政府がリビア統一政府を、支援する形になっている。しかし、まだアラブの大国、エジプトのリビア統一政府に対する対応は、明らかになっていない。