『西側IS戦闘員帰国希望』

2016年6月10日

 

 虫のいい話なのだが、イラクやシリアで散々市民を殺してきた、西側出身のIS(ISIL)戦闘員が、いまになって、帰国を希望し始めている。彼らはトルコの自国領事館や、大使館に救出要請を、しているということだ。

 彼らはイラクやシリアの戦線を離れ、トルコに侵入し、それぞれの大使館や領事館と、連絡を取り始めており、逃亡ルートを開いてくれるよう、要請しているということだ。

 そのような状況が生まれたのは、IS(ISIL)がイラクでもシリアでも追い込まれ、戦闘が極めて不利になってきているからだ。今後はもっと追い詰められ、戦死するのを待つしかない、という状態なのかもしれない。

 IS(ISIL)の戦闘員はトルコから、自国の家族などに連絡し、逃亡を手助けしてくれるよう、また救出してくれるよう、依頼している。

 トルコの情報部は彼らを捕まえ、1ヶ月以上かけて取調べを行い、それぞれの大使館に引き渡す、という方法をとっているようだ。その結果、既に150人程度が帰国出来ている、ということだ。

 しかし、問題は帰国した後だ。それぞれの戦闘員が帰国した後に、パリやブリュッセルで起こったような、テロを再度行うのではないか、という不安が沸いている。

 現在、シリアには、IS(ISIL)の戦闘員が、25000人いると見られているが、その数が以前に比べ、10000人少なくなっている。そのうちの20000人の戦闘員は外国人であり、残りはシリア人だ。そして、ヨーロッパから来た戦闘員の数は、4500人と見られている。

 フランスから来て、イラクやシリアで戦闘に参加していた戦闘員は、2012年以来、既に1700人が帰国した、と見られている。ドイツやイギリスから来た過激派テロリストも、1600人が既に帰国していると見られている。

その半数ずつ、各々800人ずつがイギリスとドイツに、帰国しているということだ。そして、フランスから来た戦闘員も、既に、相当数帰国しているようだ。

これまで、トルコとサウジアラビアが、戦闘員の入国を助け、軍資金を提供し、武器を供与して、IS(ISIL) を支援している、と非難されてきていたし、トルコはIS(ISIL)からシリアやイラクで、盗掘した石油を輸入している、とも非難されてきていた。

こうしたメカニズムが、いまになっては、機能し難くなってきている、ということであろう。それで戦闘員への給与遅配が、遂に無配に変わってきたのだ。問題は帰国したIS(ISIL)メンバーが、自国内でテロを起こす危険性なのだが、各国はこれにどう対処するのであろうか。

戦争による後遺症は、長い間続くことは、ベトナム戦争に参加したアメリカ兵で、実証済みだ。彼らは突然凶暴化し、離婚しなければ家族を殺害してしまう、という危険が多発していた。

IS(ISIL)の場合はもっと残忍な処刑を、何度も繰り返してきており、戦争の後遺症も相当重度であろう。彼らは残虐な殺害と、麻薬、レイプを繰り返してきており、正常な精神状態ではなかろう。回復には相当長い時間が、かかるのではないか。