笑い話のような本当の話だ。CIAとサウジアラビアが、シリアの反政府側に援助として送った武器が、ヨルダンでモバイル購入のために、転売されたというのだ。もちろんこの武器の転売は、ヨルダンの軍や情報部によって、行われたのであろう。
彼らはシリアに送る武器を、ヨルダンの武器のブラック・マーケットに流し、その金でぜいたく品や、モバイルを買っていたというのだから、話にならない。あるいは、あまりにも大量の武器が、CIAとサウジアラビアから提供されるために、少しぐらいは転売しても構わない、という判断が働いたのかもしれない。
問題はこの転売された武器が、ヨルダン国内にばらまかれることだ。ヨルダンは述べるまでもなく、絶対多数の住民がヨルダン人ではなく、多数派はパレスチナ人であり、彼らは難民なのだ。彼らは不満を抱いており、これらの横流しの武器が、何時の日にかヨルダン王制打倒に、使われる可能性があるということだ。
加えて、ヨルダン国内の反アメリカのテロリストたちが、これらの武器を使って、アメリカ軍や軍属の訓練指導員を、襲撃するということだ。既に、それはヨルダンで、何度も起こっている。
加えて、これらの横流しされた武器の一部は、IS(ISIL)側にも渡っており、IS(ISIL)側はこれらを改良して、より優れた武器に作り変えているのだ。それで攻撃されたのでは、たまったものではあるまい。
アメリカは以前、シリア北部のコバネで、クルド人とIS(ISIL)が戦ったときも、クルド側に対する援助として投下した武器の、相当部分がIS(ISIL)側に渡っていた、というニュースが広く伝えられていた。
そこで問題は、今回のヨルダンで起こった武器の転売が、あくまでも一部軍人と、情報部のスタッフによるものだったのか、という点だ。実はこれは始めから、反シリア政府側に渡す目的ではなく、他の目的で行われたのかもしれない。
一つはIS(ISIL)側に武器を渡すことが、目的であった可能性だ。最近、ヨルダンとシリアの国境地域では、武力衝突が頻発しているが、それはヨルダン軍とIS(ISIL)の間で起こっているのだ。
もう一つの可能性は、そろそろヨルダン王家を、打倒しようという意思が、何処かの国から、働いているのではないかということだ。イスラエルはヨルダン川西岸地区の全てを、イスラエル領土にする方向に舵を切っている。
そうなれば、多数のパレスチナ人が、ヨルダンに流入しよう。その段階で、ヨルダンをパレスチナ国家にしてしまうことは、考えられるシナリオではないのか。