『トルコ危険が一杯アヤソフィアをモスクに』

2016年5月29日

 

 いまの時期にトルコでは、東ローマ帝国の首都コンスタンチノープルを、オスマン帝国が攻略し、イスタンブールにした記念行事を、開催しようと言い出している。このことは少なからぬショックを、ヨーロッパ諸国や世界のキリスト教徒に、及ぼすだろう。

 これはあたかも、トルコがヨーロッパ社会に真っ向から挑戦している、印象を与えることは間違いない。そうでなくとも、最近ではヨーロッパ諸国では、IS(ISIL)による脅威が語られ、イスラム脅威論が広がっている。

 加えて、シリアやイラクからの難民、それに加えてリビア経由で入って来る、アフリカ難民の対応でヨーロッパ諸国は、青息吐息なのだ。なかでも、一番多くの難民が押し寄せてきている、ドイツはメルケル首相が頭を抱え込んでいる。

 そのドイツを始めとした、ヨーロッパ諸国の窮状に、まさに傷口に塩をすり込むように、トルコのエルドアン大統領は難民支援金として、EU60億ユーロを要求したり、トルコのEUへの加盟を認めろ、トルコ人のビザ無し渡航を許可しろ、と息巻いている。

 こうしたなかで出てきた、今回のイスタンブール攻略勝利記念行事の、開催の提案はどれだけのショックを、EU諸国に与えることか、と心配される。加えて、トルコの国民の何千人もが、アヤソフィア教会をモスクにしろ、とデモを行っている。 

このアヤソフィア教会は、述べるまでも無く東ローマ帝国の、キリスト教教会であったものを、オスマン帝国がコンスタンチノープロを奪取し、イスタンブールに改名した後、モスクに改造して、イスラム教徒の礼拝所にしていた、という経緯がある。

しかし、トルコ政府はアヤソフィア教会を後に、観光名所として利用することを考え、モスクとしては、使用していなかったのだ。アヤソフィア教会の内部を飾るキリスト教の聖画は、漆喰で塗り固められ、その上にはイスラムの模様が描き込まれている。その漆喰の一部がはがされ、いまではキリスト教徒の観光客の目を、楽しませている。

何処まで本当か知らないが、最近目立つのは、ヨーロッパ諸国にはトルコに対する、嫌悪感情が拡大しているということだ。そこからヨーロッパ諸国はアメリカと連携して、イスタンブールを攻略し、元のコンスタンチノープルに戻す計画がある。そのコンスタンチノープル奪還作戦には、ロシアのプーチン大統領も、敬虔なロシア正教徒であることから、参加するという噂が流れている。

そうした雰囲気のなかでの、今回のトルコの二つの動きは、今後、問題化していくのではないか、という懸念を払拭することは出来まい。