『アゼルバイジャン・トルコ・ガス・パイプライン計画』

2016年5月26日

 

 欧州再建開発銀行(EBRD)が、トルコとアゼルバイジャンに対して、パイプライン建設計画への投資を、持ちかけている。これはTANAP(トランス・アナトリア・ガス・パイプライン)と呼ばれる計画だが、その建設費用は170億ドル、と見積もられている大規模なものだ。

 このパイプラインは、アゼルバイジャン、グルジアを経由し、トルコそしてギリシャに向かい、ヨーロッパにガスをもたらす、というものだ。このパイプラインが完成すると、160億立方メートル(bcm)のガスが運ばれ、そのうちの60億立方メートル(bcm)が、トルコでの消費に回され、残りはヨーロッパ諸国に、向かうということだ。

 なお、ヨーロッパに向かうガスは、トランス・アドリアチック・パイプライン(TAP)に、連結されることになる。

 この結果、TANAP(トランス・アナトリア・ガス・パイプライン)のキャパシテイは、年間で230億立方メートルに増大し、次いで2026年には、310億立方メートルに、拡大する予定だ。

 この計画には15億ユーロの予算が組まれており、そのうちEBRDは、5億ユーロを投資し、残りを世界の銀行から、シンジケート・ローンとして調達する予定だ。

 トルコはこうしたプロジェクトに、参加することにより、何とかロシアのガスへの依存を下げ、出来ればロシアからのガス輸入を、止めたいようだ。現在のトルコとロシアとの関係を見ていれば、それは自然なトルコ側の発想であろう。