5月24日、イランでは宗教最高指導者の組織である、宗教専門家会議の議長を選出する、選挙が行われた。
この会議の本部は、イランのクム市にあり、ここはいわば、シーア派イスラムの総本山なのだ。そこの宗教専門家会議の、トップに就任するということは、イランばかりではなく、世界のシーア派イスラム教徒の、指導者になることを、意味している。
今回の選挙では、大所でアヤトラ・マハムード・サホロウデイ師、アヤトラ・エフラヒム・アミニ師が立候補し、アヤトラ・マハムード・サホロウデイ師が13票、アヤトラ・エフラヒム・アミニ師が21票したが、アヤトラ・ジャンナーテイ師が、全体で88票のうちの、51票を獲得し、勝利に終わった。
今回の選挙には、2011年まで議長を務めていた、大物のアヤトラ・ラフサンジャーニ師は、立候補しなかった。
つまり、今回のシーア派の専門家会議の議長選挙には、ハメネイ師が相当裏で動き、圧力をかけたのであろうと思われる。
現在イランでは、穏健改革派と言えるラフサンジャニ師や、現職の大統領ロウハーニ師などと対抗し、ハメネイ師が強硬な立場をとっている。ハメネイ師のバックには、いまのところ革命防衛隊がついているのだ。
このイラン国内の穏健派と強硬派の衝突が、何時頃表面化してくるのか、見ものだ。穏健派はアメリカとの関係を改善し、経済改善に乗り出したい、と思っているが、それにブレーキをかけているのは、ハメネイ師と彼の支持者たちだ。
ハメネイ師はシリアやイラクにも介入し、シリアのアサド大統領派を支援するために軍隊を送り込んでいるし、イラクについてもしかりだ。
先日、イラクで起こったグリーン・ゾーンへのデモは、サドル師が指揮したのだが、デモの命令はハメネイ師から、出ていたものと思われる。そうすることによって、イラクがアメリカ一辺倒になることを、防ごうとしているのであろう。
こうしたイラン国内の対立は、アメリカにとっては、好都合なのではないか。アメリカは時間をかけて、イラン側に妥協するだけ妥協させ、最終的にはイランを絡め取ろう、と考えているからではないか。