トルコのイスタンブール空港に、中国のウイグル人が、150人も到着した。そのこと自体には、何ら問題はないのだが、彼らが所持していたパスポートが、問題だった。
彼らの全てが所有していたのは、中国のパスポートではなく、隣国キルギスのパスポートだったのだ。そのため彼らは逮捕され、国外追放処分を、受けることになった。
このウイグル人たちはイスタンブールから、サウジアラビアのジェッダに入り、オムラ(略式巡礼)をする、という目的だった。所持金は皆2500ユーロ(33万円程度)あり 結構な金額だ。
事実関係を調べるために、150人のうちの4人が拘留され、取り調べを受けることになっているが、それは、イスラム教徒が各種の名目で、イスタンブールに入り、そこからイラクやシリア、リビアに移動して、IS(ISIL)の戦闘員になるケースが、あるためであろう。
これまでにも、ウイグル人がシリアでヌスラ組織に加わって、戦闘に参加するということが、報告されているし、イラクではIS(ISIL)に参加して、戦闘に参加している、という情報もあった。
もちろん、ウイグル人たちの旅行目的は、彼らが主張するように、オムラである可能性もあろう。キルギスのパスポートを所持していたのは、中国政府の許可を待っていたのでは、時間がかかることと、禁止される可能性があること、そして、賄賂が必要だからかもしれない。
中国のウイグル地区に隣接するキルギスは、民族的にウイグル人とは同じであり、親しみを抱いていようし、キルギスの経済状態が悪いために、公務員が内職でパスポートを、発行したのかもしれない。
いま中国では自営業をやると、それなりの金が稼げる時期だ。公務員は賄賂を取り、汚職をして金を貯めるが、自営業者は正当に、金が儲けられる。そうなると、ウイグル人のようなイスラム教徒は、サウジアラビアのメッカに巡礼(オムラやハッジ)に行きたいと、希望するのが自然なことだ。
今回のオムラ希望者のウイグル人たちの、年齢層が明らかになっていないので、何とも言えないが、もし、本当にオムラが目的であったとすれば、実に気の毒な話だ。
もしそうだとすれば、トルコ政府には彼らを、中国の官憲に引き渡して欲しくない。もしそうなれば、ウイグル人たちは尋問、拷問を受ける可能性が高いし、運が悪ければ処刑される、可能性もあるからだ。