5月末(5月21日から6月1日の間に予定されよう)から6月の始めに掛けて、トルコでは政治的大変革が起こりそうだ。それはダウトール首相の去就をめぐる問題に関する会議が、開催されるからだ。会議はAKPの特別会議で、新に党代表を選任するというものだ。
この新しい党代表に、ダウトール首相が立候補するか否かが、トルコ国内ではいま話題になっている。もし立候補しなければ、彼が新しい党代表になることはないわけであり、新首相にも大統領になる目も、無くなるということだ。
先日、エルドアン大統領とダウトール首相が、1時間半に渡る対談をしているが、この席でエルドアン大統領はダウトール首相に対して『お前が首相になれたのは何故か分かっているよな。そのことをよく考えろ。』と言ったということだ。
つまり、ダウトール首相が首相になれたのは、エルドアン大統領が任命したからであり、そのことは何時でも彼の首を切れる、ということだ。ダウトール首相は木曜日に、記者会見をすることになっているが、その席で何が語られるのか、興味深い。
このニュースを受けトルコでは、トルコ・リラが1・09パーセントも下げた、ということだ。ダウトール首相に対する支持というよりは、トルコの政局が不安定になる、という読みからであろう。
さて、何故これまでエルドアン大統領の、下僕のように言いなりになってきたダウトール首相と、エルドアン大統領との関係が、不味くなったのであろうか。それはエルドアン大統領のジェラシーに、よるのではないか、という気がしてならない。
エルドアン大統領が国連総会に参加した折に、オバマ大統領との会談を申し入れたが、時間が無いということで拒否され、その後、トルコ外交官の努力によって、何とか短い会見の機会を得ている。オバマ大統領はエルドアン大統領を嫌っており、会いたくなかったということだ。
しかし、ダウトール首相の訪米に当たっては、早い段階からオバマ大統領との会談が、セットされたことが報じられている。これでは、トルコを代表するのはエルドアン大統領ではなく、ダウトール首相というイメージが、広がってしまおう。
さて、このダウトール首相辞任の後に何が起こるのか。エルドアン大統領はスキャンダルを口実に、彼を逮捕し投獄するかもしれない。いまのエルドアン大統領にはそんなことは朝飯前なのだから、出来ないことはあるまい。