イランの議会の選挙結果は、穏健派のロウハーニ大統領の派閥が、躍進したようだ。ロウハーニ派が大勝利したということだ。もちろん、これはまだ最終結果では無いが、最大派閥になったことは、否定できないようだ。
ロウハーニ派はこれまでの選挙結果を見ると、34議席を獲得しが、これに対して、保守派は12議席しか、獲得できていないということのようだ。この穏健派の勝利は、2005年以来ということらしい。
穏健派が選挙で勝利したのは、ヨーロッパやアメリカとの、経済制裁問題をめぐる交渉が、ロウハーニ大統領の下で、成功したことにあろう。イラン国民の多くは、このことが社会的な制約の、緩和に繋がっていくし、経済的にも改善していく、と判断したのであろう。
ロウハーニ大統領は今回の選挙結果を受けて、アメリカ屋ヨーロッパ諸国との関係促進をはかり、これらの国々との経済協力と、改革に本腰を入れることが、出来やすくなった、ということであろう。
しかし、こうしたイラン国民の意思とは逆に、保守派は国民を締め付ける道具を、探しているようだ。それは宗教を梃子にする考えであり、エルサレムの解放や、シリアやイラクのシ-ア派支援を、唱え始めている。
イランの国営放送は、イランの若者に対し、シリア・イラクの戦闘に参加するよう呼びかけ、軍事訓練もしている。いわく『我々はフセインの戦士だ、アリーの戦士だ。聖廟を救おう。』『私の最初の目標はシリアの聖廟を守ることであり、最終ゴールはエルサレムだ』といった内容のメッセージを流している。(フセインはアリーの子息、アリーは第4代カリフでシーア派の祖)
戦争という劇薬は若者を容易に、引き寄せるのであろうか。このイラン保守派の宣伝は、単にシリアのアサド体制を、擁護するためのものであり、もっとはっきり言えば、イラン国民を支配していくための、口実に過ぎないのだ。
今回の選挙結果と、ロウハーニ大統領が進める自由への前進は、イランの若者の思考を変えるかもしれない。しかし、ロウハーニ大統領は堅実な改革を、進めるであろうことから、一朝一夕の大変革は、起こることを期待するべきではあるまい。
イランで続いた、40年に近いホメイニ体制、宗教支配の垢を、そう簡単に落とし去ることは出来まい。イラン国民はもう少し我慢を、する必要があろう。イスラムでは『アッラーは忍耐をする者と共にある。』という言葉があるのだから。