『ヨルダンがIS(ISIL)のターゲットに』

2016年5月 6日

 どうもヨルダンがIS(ISIL)の、ターゲットになり始めたようだ。ヨルダンは述べるまでも無く、シリアに隣接する国家であると同時に、イラクとも国境を接している。この両国と接する国境の距離は、573キロにもなるのだから、IS(ISIL)は何処からでも、入って来られるということであろう。

 そればかりか、いまでは多数のシリア難民が、ヨルダンに押しかけており、人道的なこともあり、ヨルダン政府はこれを、拒絶できない立場にあるのだ。難民に対する支援額は、ヨルダン政府にとって、大きな負担になっていることは必定だ。

 難民が流入してくるのは仕方ないとしても、難民に混じって多数のIS(ISIL)のメンバーも、ヨルダンに入ってきている。最近になって発表された、難民に紛れ込んで、ヨルダン入りしたIS(ISIL)のメンバー数は、2000人を超えているということだ。

 彼らは自爆ベルトを持ち、武器も持っているということであり、他の場所にいるメンバーとの連絡には、ドローンや伝書鳩、動物も用いられている、といわれている。

 ヨルダン軍はこのため、9749人の兵員を国境に貼り付け、重装備で対応しているが、完璧な防御は無理であろう。現実に、ヨルダンの首都アンマン近郊では、ヨルダン軍兵士とIS(ISIL)の戦闘員の間で、銃撃戦が起こり、市民3人が殺害され、女性2人が負傷を負っている。

 ヨルダンはアメリカにとっても、イスラエルにとっても、極めて重要なパートナー国家であるにもかかわらず、こうした状態が起こり始めたのは、何故であろうか。もちろんヨルダンには、イスラエルのモサド要員が、多数入っているはずだし、アメリカのCIA要員も多数、居住しているはずだ。

 うがった見方をすれば、ヨルダンが混乱し始めた理由は、次の二つのどれかかもしれないし、その両方かもしれない。一つは、IS(ISIL)の戦闘員がシリアやイラクから、脱出しようとヨルダンに、入ってきている可能性だ。

 もう一つの可能性は、アメリカで発表された新中東地図のように、ヨルダンの王家は廃され、サウジアラビアのメッカやメジナのある、へジャーズ地域に移動させられ、そこに国家を与えられるのかもしれない。

 そうなれば、ヨルダンはパレスチナ人の国家になり、ヨルダン川西岸地区から、イスラエルは遠慮なくパレスチナ人を、追放できるようになるのだ。中東で起こっている激変は、まさに激変を地域各国に、もたらすのではないか。いまの中東では、ありえないようなことが、起こるのが普通になっている。こうなると、どれだけ想像をたくましくするかが、問われるということだ。