シリアやイラクで蛮勇を奮った、I(ISIL)が遂にイスラエルも、攻撃のターゲットにすると宣言した。述べるまでも無く、このIS(ISIL)の宣言にイスラエル政府は、真剣に対応を考えているようだ。
しかし、イスラエルが陥りやすい、間違いを犯しているのではないか、と思えてならない。IS(ISIL)の行動を、アッラーや一般のムスリムと同列にして、論評している点だ。ほとんどのムスリムは、IS(ISILに対して、反発を感じながらも、イスラエルに対してはそれ以上の、反発を感じているのだ。
アッラーを引き合いに出すことは、ムスリムのイスラエルに対する敵意をむき出しにしてしまい、IS(ISIL)に参加しないまでも、背後から支援する可能性が、拡大するだろう。
この記事で気になるのは、IS(ISIL)の幹部のほとんどは、既にイラクやシリアを、離れているのではないかということだ。アメリカはしきりに、バグダ-デイはイラクに居るようだ、と分析を巻き散らしているが、そうではないような気がする。
結果的に、イラクやシリアに残存している、IS(ISIL)のメンバーの多くは、アラブ人や東南アジア、西アジアのムスリムではないのか。そうなると、彼らにとってはエルサレムの解放という、本来の夢が前面に出てくるのだ。
それが今回のIS(ISIL)による、イスラエルをターゲットとする、という宣言の背後に、あるのではないのか。
IS(ISIL)の幹部はリビアやアフガニスタンに異動し、新たな目的のための戦闘を展開しているのだ。既に目標を達したイラクやシリアには、用はないということであろう。
このような状況で、不安になるのはIS(ISIL)の残存部隊である、アラブ人の戦闘員が本気で、イスラエルに攻撃を始めることだ。そうなれば、ヨルダン川西岸のパレスチナ人も、武器を持って戦闘に参加しようし、ガザのパレスチナ人も、然りであろう。
この段階では、いままで影でネタニヤフにおもねっていた、アッバース議長の意見など、誰も聞かなくなるだろう。イスラエル人の首がシリア人やイラク人と同様に、切り落とされる日が、近づいているのかもしれない。
イスラエルでは著名なテレビ・キャスターが、イスラエルから家族全員で離れる、と語ったというニュースが流れていた。彼らには情報がいち早く届くのであろう。その結果の判断ではないのか。