『シリアの海岸2都市・ISが攻撃死傷者多数』

2016年5月24日

 

 シリアの主要都市では、日常茶飯事のように、テロ攻撃が起こっている。もちろん、首都ダマスカス市も、例外ではない。

 しかし、523日に起こったテロ事件は、これまでのものに比べ、相当な規模であり、被害も尋常ではなかったようだ。145人が死亡し(一説には、200人を超えている、とも伝えられている)、負傷者の数がまだ不明なのだ。それだけショックが、大きかったのであろう。  

 今回の攻撃を仕掛けたのはIS(ISIL)であり、彼らは誇らしげに、犯行声明を出している。五つの特攻攻撃があり、それ以外に二つの車爆弾も、爆発したのだ。しかも、その爆弾テロは数秒以内に、連続して起こった、と伝えられている。

 そのことは、この連続テロ攻撃が、周到に計画され、計算されて実行されたものだった、ということではないのか。そして、今回テロが起こったのは、タルトース市であり、もう一つは、ラタキア県のジャブレ市だ。

 述べるまでもなく、この二つの都市は、地中海に面した都市であり、住民の多くは、アサド大統領と同じ、シーア派のアラウイ―教徒なのだ。加えて、タルトース市にはロシア海軍の軍港があり、ジャブレ市はロシアの空軍基地が、すぐそばにあるのだ。

 つまり、今回のテロはアサド体制への恫喝であり、ロシア軍に対する報復であった、ということであろう。強気のプーチン大統領は即座に、シリアと協力して反撃対応する、と宣言している。

 アサド大統領とプーチン大統領は、当然、強硬対応をやるだろうが、問題は犠牲者が市民であり、彼らには打つ手がないのだ。爆発現場ではどちらに逃げたらいいのか、分からない市民が、右往左往していた、と報告されている。

しかも、彼らが逃げようとする現場の地面は、血と吹き飛ばされた、人間の肉片が、散乱しているのだから、まともな神経ではいられまい。現場は病院であり、バス停留所だったのだから、多数の市民が集まっていたのであろうし、それが被害を大きいものに、したのであろう。

私には何の対応策も、思い浮かばない。時間だけが問題の解決の、手段なのだろうか。ただ言えることは、IS(ISIL)との交渉の窓口を、誰かが作る必要があるような気がする。

いまのシリア国内のIS(ISIL)の状況は、追い込まれて行き場を無くしているものと思われる。だからこんな大規模なテロが起こるし、それが自爆型になるのではないのか。既に、IS(ISIL)の幹部の多くは、イラクやシリアを、離れているものと思われる。残ったIS(ISIL)のメンバーは自暴自棄になっているのではないのか。