『トルコの大国意識とナゴルノ・カラバフ紛争』

2016年4月23日

 

 トルコのエルドアン大統領は、タイムズ紙が選んだ『世界の中で影響力の強い強力なリーダー100人』に入ったようだ。確かに、彼の言動はヨーロッパ諸国を、震撼させていることは事実であり、アメリカもエルドアン大統領の、強引な言動には辟易している。

 ここに来て、遂にたまりかねたロシアが、エルドアン大統領の国トルコの、対ナゴルノ・カラバフ対応について、非難を寄せた。ロシアのラブロフ外相は、トルコのナゴルノ・カラバフ対応は平和を語りながら、火に油を注ぐ行為だ、と非難している。

 トルコ政府は平和を語りながら、他方では、アゼルバイジャンに対して全面的な支援を、送ると言っているのだから、その通りであろう。ナゴルノ・カラバフ紛争は42日に始まり、既に、アゼルバイジャンとアルメニアの双方に、合計で100人以上が死亡している。

 ロシアの仲介で停戦状態には至っているが、未だに時折銃撃戦が起こっているし、双方とも一歩も引く気配を、見せていない。ナゴルノ・カラバフは戦略的に、極めて重要だということであろう。

 1994年にもこのナゴルノ・カラバフでは、アゼルバイジャンとアルメニアとの間に戦争が起こり、3年の長きに渡って続いた、問題はこのナゴルノ・カラバフ紛争が拡大した場合、アゼルバイジャンとアルメニアとの紛争に留まらず、コーカサス全域に戦闘が拡大する危険性があるのだ。

 そして、それはトルコとロシアとの戦争に、発展する危険性すらある、ということだ。もちろん、そうなればアメリカを始めとした、NATO諸国が介入することになるので、それは第三次世界大戦が始まる、ということであろう。

 第三次世界大戦を起こしたい、とアメリカやヨーロッパの権力者たちは、望んでいる、その理由は戦争によって、いまど壺にはまっている経済不況を、突破したいからだということだ。

 極めて危険な考えではあるが、案外真剣に、世界大戦を起こしたい、と願っている人たちが、いるのかもしれない。トルコのエルドアン大統領は、そうした西側の権力者たちの、言いなりになって、動いているのかもしれない。

 あえて、エルドアン大統領の考えを、擁護しようと思えば、ナゴルノ・カラバフがアゼルバイジャンの、支配下に置かれるようになれば、アゼルバイジャンの石油やガスは、トルコにパイプ・ラインで移送することが、出来るようになるのだ。

 そうなれば、カザフスタンやトルクメニスタンのエネルギー資源も、このルートを通るようになり、ロシアの中央アジア諸国に対する、エネルギー輸送ルートとしての強みは、無くなるということだ。それは欧米の喜ぶところであろう。