サウジアラビアの元駐米大使であり、情報大臣であった、トルキー・ファイサル氏がCNNとのインタビューのなかで、重大な発言をした。それは、今後両国関係だけではなく、中東全域と世界に、大きな影響をもたらすかもしれない。
トルキー・ファイサル氏は『アメリカとサウジアラビアの蜜月時代は終わった。それが元に戻ることはないだろう。』そして『誰が新しいアメリカの大統領になっても、両国関係の修復は、ありえまい。』と語ったのだ。彼に言わせると、オバマ大統領の一連の発言が、サウジアラビアなど多くの国々を、目覚めさせたというのだ。
それは、オバマ大統領のシリアや、イエメンに関する発言であり、それ以前にも、サウジアラビア側からすれば、裏切りとしか取れない、アメリカの行動があったからであろう。
例えば、シリアに対する攻撃を、2013年に約束していながら、アメリカは実行しなかった。オバマ大統領は『シリアのアサド体制を打倒する。』とサウジアラビア側に確約していたにもかからずだ。
また、アメリカを始めとする、世界の大国がイランとの間で、新たな合意に至ったことも、サウジアラビアには不満だった。サウジアラビアにしてみれば、北の隣国イランは、常に安全上の頭痛の種に、なってきていたからだ。
そして、イランの核問題でも、アメリカは結果的に妥協している。これではアメリカの発言や約束は、全くあてにならない、ということであろう。
加えて、最近ではアメリカとサウジアラビアとの間で9・11事件に関する情報の公開が、問題になっている。これまで公開されていなかった、28ページの情報が公開されれば、そこでは9・11事件に、サウジアラビアが深く関与していたことが、明らかにされているというのだ。
もし、それが公開されれば、世界的なサウジアラビアの、大スキャンダルになろうし、犠牲者家族への補償問題も、巨額に上ることになろう。そうなれば、いまでも苦しいサウジアラビアの台所事情は、破滅するということに、なるのではないのか。
アメリカは何故いまの時期に、サウジアラビアをこうまでも、追い込んでいるのであろうか。その原因の一つは、アメリカの経済状態に、あるのかもしれない。また、サウジアラビアという国の体制を、揺さぶり、打倒することを、考えているのかもしれない。
ご存じのとおり、IS(ISIL)はサウジアラビアを、次のターゲットに決定している。すでに相当数のIS(ISIL)のサウジアラビア人の戦闘員が、同国に帰還しているようだ。
オバマ大統領がサウジアラビアを訪問した際、サウジアラビアの国王は迎えに出ていない。つまり、極めて冷たい受け入れ方を、したということだ。こうしたことを考えると、アラブの春という名の、アラブ各国の政権打倒が、サウジアラビアでも始まる、ということではないか。