『ロウハーニ大統領のいきな計らいは成功するか』

2016年4月21日

 

 イランのロウハーニ大統領が、珍しい思い切った発言をした。それは、イランの宗教警察の行動を、規制する内容だった。イランでは数千人の男女の、宗教警察が存在し、国民の日常の行動を、監視している。

 たとえば、女性がスカーフをきちんと、冠らずに髪を出していたり、厚化粧をしていると、処罰されるのだ。以前は相当宗教警察の行動は、激しいものであり、女性が路上で、殴打されるということもあったし、留置所に連行される、ということもあった。

 車の中で音楽を聴いていても逮捕されて、処罰を受けるということもあった。なかでも西欧の音楽の場合は、厳しい対応がなされていた。これではイラン国民には、心の圧迫から逃げる場所が、無くなるということだ。

 そこでロウハーニ大統領は、今回宗教警察に対して、国民に対する緩やかな対応を、させるようにと考えて、発言したのであろう。それによれば『宗教警察には逮捕権がなく、国民の間違いを正すだけだ。それは文書による注意や、電話による注意の、換気のみだ。』と発言したのだ

 こうした発言は当然、最高権威者のハメネイ師の、意に沿わないものであろう。それにもかかわらず、ロウハーニ大統領が敢えて、こうした発言したのは、イラン国内の権力構造に、変化が生まれ始めているからではないのか。

最近になって、元大統領だったラフサンジャニ氏も、同様にハメネイ師の意向に反すると思われる、内容の発言をしている。

イランではいま、経済制裁が緩和されたこともあり、自由をより強く求める傾向が、国民の間では広がりつつある。これを政府が全面否定すれば、その反動として国民の間に、反政府の機運が持ち上がって来よう。以前、大統領選挙に立候補して、落選させられたカロウビ師も、最近になって選挙の不正を、言い始めている。(本人は当選したのだが、不正に投票結果が改ざんされ、落選とされたと信じている)

ハメネイ師が最近、軍を称賛したり、ヘズブラを称賛しているのは、政府に対して厳しい政策を、取らせるための、間接的な圧力なのかもしれない。イランは欧米による経済制裁緩和という、雪解け気運のなかで、また一波乱あるかもしれない。